何cmなのか?
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/30 21:14 UTC 版)
もともと釈迦はインドの人物なので、その身体描写には当時のインドでの単位が用いられている。古代インドでの長さの単位は、その最小単位が「極微塵(paramāṇu)」とし、7倍ごとに単位があがる。「7 paramāṇu」が「1 āṇus」、「7 āṇus」が「1 loharajas」、「7 loharajas」が「1 abrajas」…という具合に単位があがっていき、「1,975,226,743 paramāṇu」が「1 ańguliparva(指節)」となる。詳細は下記の通り。 7 paramāṇu (極微塵) = 1 āṇus 7 āṇus (極塵) = 1 loharajas = 49 paramāṇu 7 loharajas (金塵) = 1 abrajas = 343 paramāṇu 7 abrajas (水塵) = 1 śaśarajas = 2,401 paramāṇu 7 śaśarajas (兎毛塵) = 1 avirajas = 16,807 paramāṇu 7 avirajas (羊毛塵) = 1 gorajas = 117,649 paramāṇu 7 gorajas (牛毛塵) = 1 vātāyanacchidrarajas = 823,543 paramāṇu 7 vātāyanacchidrarajas (隙遊塵) = 1 likşā = 5,764,801 paramāṇu 7 likşā (蟻) = 1 yūka = 40,353,607 paramāṇu 7 yūka (蝨) = 1 yava = 282,175,249 paramāṇu 7 yava (麦) = 1 ańguliparva = 1,975,226,743 paramāṇu 1 ańguliparva(指節)からは7倍ごとではなくなり、3 ańguliparva=1 ańguli(指)、12指=1 vitasti(搩手)などとなる。1搩手は大人が親指と中指を伸ばした際の長さであり、仏像の「一搩手半」はこれに由来する。その先は、2搩手=1 hasta(肘)、4肘=1 dhanu(弓)、1000弓=1 krośa(拘盧舎)、4拘盧舎=1 yojana(由旬)などとなる。このように、この単位は人体の部位の比率に基いている単位体系になっており、仏像の各部の比率を定めるには便利だが、その長さは一人ひとり違うので、絶対値として換算できない。 中国では、これらの単位を尺に置き換えて記述した。それがさらに日本へ伝わり、日本では仏像を作る際の大きさの目安になった。ところが、中国の「尺」は時代ごとに差異があり、それが大きな問題になっていった。法隆寺の時代は中国の唐の時代にあたり、唐時代の中国の「尺」が日本に導入されたと考えられている。この「1尺」は約29.63cmに相当し、現代では明治時代の再定義によって1尺=30.303cmと定められている。 しかし、唐よりも古い周の時代には1尺はもっと短く、約8寸(10寸=1尺)であり、さらに古い殷の時代には1尺は約9寸であった。したがって、経典や文書がいつ記されたものであるかによって、「1尺」と記述されても長さが違うということになる。これが奈良時代から日本の仏像製作者を悩ませる種になっていった。当時の文献によっては、同じ「丈六」でも、通常の丈六と「周丈六」を区別して記述しているものもある。 現代的には、「丈六」=1丈6尺は約4.85mということになり、これが釈迦の実際の身長ということになる。
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