任期制陸・海・空士の身分保障・待遇
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/12 15:10 UTC 版)
「士 (自衛隊)」の記事における「任期制陸・海・空士の身分保障・待遇」の解説
二等陸・海・空士として採用される任期制隊員(一般2士)の扱いは契約社員と同じで、普通の公務員のように定年まで身分が約束されている曹へ必ず昇任できる保証は無い(ただし、近年の就職情報サイトでは二等陸海空士の募集では「正社員」の区分で公開されている)。陸上自衛隊の場合、部隊等で実施される曹候補生選抜試験に合格すると曹候補生たる士長(非任期制隊員)に指定され、陸曹候補生課程の教育を受けた後、3等陸曹に昇任できる。※陸曹候補生たる陸士長の指定を受けると、陸曹候補生課程を受ける前に所属部隊にて、2〜4週間程(1ヵ月以内)、陸曹候補生履修前教育を履修し、課程教育について行ける為の体力の向上、最低限の知識を学び、じ後、各方面混成団隷下の陸曹教育隊及び女性自衛官教育隊で陸曹候補生課程及び3曹昇任試験(約3ヵ月程)を受け、各職種ごとの学校等において初級陸曹特技課程の教育(約3ヵ月程)を受けた後、3等陸曹に昇任できるのである。海上、航空自衛隊では3曹昇任試験に合格したあと海・空曹予定者課程を履修して3曹に昇任する(または3曹昇任後、初任海・空曹課程を履修)。ただし、任期の継続を希望してもある程度の年数を経ても3曹に昇任できない者や、勤務成績の不良や心身の故障により任期の継続を認められない者は任期満了と同時に除隊となる(就職援護等を勧められる)。また、一般曹候補生(非任期制隊員)であっても、同様に心身の故障・勤務成績不良、重大規律違反・服務事故等、選考での不適が続く(陸・海・空の部隊等で実施される曹候補生選抜試験に何度も受験しても合格できない)、陸・海・空曹候補生課程での成績不良等の理由により3曹に昇任できない(と見込まれる)場合は陸・海・空曹候補生の資格を取り消され、暗に除隊(就職援護等)を勧められる場合がある。免職の項も併せて参照のこと。 任期制隊員は任期が満了すると特例退職手当(任期満了退職金)が支給される。希望者は受け取りを次の任期末まで保留し、除隊時にまとめて受け取ることも可能である。また、手当を受け取る受け取らないに拘わらず、志願により2〜3任期の継続は許可を受ければ可能である。ただし、手当を受けた後に曹に昇任した場合、その間の勤務年数は退職金の掛け金から除外されるため、退職金がその分、下がることになる(このため受給した手当を返納することが可能となっている)。 陸上自衛隊は任期制隊員(陸士)の任用期間が他と比べて短い(1任期目が海・空は3年に対し2年)。特に普通科・特科・施設科では任期満了による除隊の勧奨時期が早い傾向にある。任期制隊員から3曹の昇任は所属部隊ごとに行われ、部隊の状況にもよるが概ね10人に1人の割合(1人が3曹に昇任、9人が除隊)という狭き門である。 海上・航空自衛隊の昇任試験は全国で選抜される。海上自衛隊・航空自衛隊については、新隊員として入隊し一定期間の部隊勤務の後、術科学校(海自術科学校、空自術科学校)等での専門技術職種の教育を受けることとなるが、永年勤続を希望する者は3曹への昇任を希望し、任期継続の限界である4〜5任期まで除隊勧奨を保留し3曹昇任を待つこともある。 しかしバブル崩壊以降の長引く不況により、陸上自衛隊においても除隊勧奨の基準である3任期を超えて勤務する任期制隊員が増加の一途をたどっており、新規採用が保留となるなど、第一線部隊においては精強性の低下が懸念されている。
※この「任期制陸・海・空士の身分保障・待遇」の解説は、「士 (自衛隊)」の解説の一部です。
「任期制陸・海・空士の身分保障・待遇」を含む「士 (自衛隊)」の記事については、「士 (自衛隊)」の概要を参照ください。
- 任期制陸・海・空士の身分保障・待遇のページへのリンク