代表的な補強土壁工法
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/11/13 03:10 UTC 版)
「補強土壁工法」の記事における「代表的な補強土壁工法」の解説
多数アンカー式補強土壁 盛土内に配置された鋼製のアンカー補強材の支圧抵抗力による引抜抵抗力で土留効果を発揮させる工法。盛土の補強機構として、壁面材とアンカープレートに挟まれた盛土材を「拘束補強」することで盛土体の強度を高め安定を図る。 多数アンカー式補強土壁工法は、国内で独自に開発された工法である。 1983年に建設省中国地方整備局山口工事事務所の道路改良工事で初めて採用された。以来壁高5m以上を中心に施工実績が増加しており、国内で数千件の施工実績がある。実績は、主に道路にて用いられる事が多い。 平成18年には新規格の『SNR鋼材』の補強材が、平成20年には『高強度コンクリート壁面材』が開発され、(財)土木研究センターからマニュアルの追記が発刊されている。 テールアルメ工法 盛土内に層状に配置された帯鋼補強材と盛土材との摩擦力による引抜抵抗で土留効果を発揮させる工法。盛土の補強機構として、盛土内に無数に敷設した帯鋼補強材による「擬似粘着力」で盛土体の強度を高め安定を図る。 テールアルメ工法は、1963年にフランスのアンリー・ビダール(H.Vidal)により 考案された補強土壁工法である。 1964年にフランスで道路盛土に初めて採用され、以来世界各国で実績がある。日本では1972年に日本道路公団にて中央自動車道で採用された。「テールアルメ」の由来はフランス語の「Terre(土)+「Armee(補強する)」であるが、英語の「Reinforced Earth」という名称が一般的である。実績は道路のみならず、鉄道・宅地造成(宅地造成規制区域内で適用可能な大臣認定用壁)・河川及び水辺(アクアテール35)・橋台等幅広く用いられており、日本では最も多くの実績を有する補強土の代表的な工法である。 ジオテキスタイル補強土壁 盛土内に面状に敷設した高分子素材のジオテキスタイルと盛土材との摩擦力による引抜抵抗力及びインターロッキング効果により土留効果を発揮させる工法。ジオテキスタイルの引張り力で盛土体としての強度を高め安定を図る。面状の補強材を全面に敷設するため、盛土材の適用範囲が広いことが特長。排水機能を備えた不織布素材の補強材を用いれば、含水比の高い火山灰質粘性土なども盛土材として適用できる場合がある。 壁面材のタイプは大きく分けて二つあり、一つは壁面材に勾配を持たせた鋼製枠と植生シートを使用し表面を緑化させるタイプ、もう一つはコンクリートブロックを使用した直壁タイプである。 上記の3工法が(財)土木研究センターから設計・施工マニュアルが発刊されている工法である。 その他、直壁タイプとしては、補強材にチェーンを利用するスリットウォール工法などがある。これらは、公的なマニュアルを有しておらず、プライベートマニュアルでの対応となるため、採用の際は注意が必要である。
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