他国との相違点
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/18 23:22 UTC 版)
「著作権法 (アメリカ合衆国)」の記事における「他国との相違点」の解説
大陸法系の国々と米国の相違点は、以下の通りである。 著作権の保護対象が狭い著作隣接権 (著作物の流通に寄与する実演家などの権利) が、著作権法上で明確に定められていない 著作者人格権が認められている範囲が、視覚芸術作品の一部に限定されている (1989年以前は全く認められていなかった) 連邦法では「既発行」(published) の著作物しか保護されなかった (1978年以降は未発行の著作物も保護されるようになった) 著作物を登録し、著作権マーク「©」を表示しないと保護されなかった (1989年以降不要となった) 記録媒体に「固定」(fixed) されていない著作物は連邦法では保護されない (詳細は#著作物の定義で後述) 国際条約を通じた国際社会との連帯が不十分著作権の基本条約であるベルヌ条約 (世界170か国以上加盟) に米国が加盟したのは、条約発効から1世紀以上経ってから 著作隣接権を定めたローマ条約 (1964年発効、世界93か国加盟) に米国は加盟していない 「ベルヌ・プラス方式」とも呼ばれるTRIPS協定 (1995年発効) に米国は原加盟しているが、米国への訴訟リスクを回避するためTRIPS協定から著作者人格権の規定が除外された さらにTRIPS協定では、米国の産業構造に合わせて著作隣接権も一部業界にだけ手厚く、その他業界は認めないねじれ構造 立法府の権限が複雑著作権法は連邦法と州法の二重構造 (詳細は#連邦著作権法と関連法の関係で後述) ただし、連邦法の立法権限は合衆国憲法内に特許・著作権条項(英語版)として明記されており、重要視されている 多数の著作権改正法案が連邦議会に提出されているが、総じて可決率が低い しかし、著作権保有者からのロビイング (政治的圧力) が強い業界分野のみ、他国より先んじて著作権保護が強化されやすい 著作物の利用に関する充実した例外規定と柔軟な司法判断著作権侵害に当たらないフェアユース (公正利用) の基準が著作権法上で定められ、裁判所がケースバイケースで侵害の有無を判定 (#フェアユース採用の評価で後述) さらに他国と比較し、フェアユース以外の個別例外も詳細に規定されている 賛否あるものの、著作権侵害におけるインターネット関連事業者への免責 (通称: ノーティス・アンド・テイクダウン手続、DMCA通告) など、デジタル化対応が世界でもいち早く明文化されている 著作権法と相反する、あるいは補完関係にある他分野の法律を交えた、総合的な司法判断が下されている (特に特許法、商標法、独占禁止法、表現の自由を謳った憲法修正1条など)
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