中世起源のグリモワール
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「グリモワール」の記事における「中世起源のグリモワール」の解説
『ホノリウスの誓いの書』(The Sworn Book of Honorius) ラテン語原題は Liber sacer (聖なる書)別名 Liber iuratus (誓書)。エウクレイデスの息子、テーベのホノリウスによって書かれたと称する降霊術の手引書。古いものでは14世紀の2種類のラテン語写本が現存しており、その一つはジョン・ディーの蔵書であった。オリジナルは13世紀前半に書かれたと推定される。 『アルス・ノトリア』(Ars Notoria、「名高き術」または Ars Notaria、「書記の術」) 1300年から1600年までのさまざまな写本が残っている。天使がソロモンに授けたという祈りの文句やラテン語で nota と呼ばれる図、清めの儀式などが記されている。自由学芸の知識の獲得、言語の速習、記憶力の強化、キリスト教的な幻視体験などを目的としている。14世紀にはモリニーの修道士ヨハネスによってアルス・ノトリアの改版というべき書物『聖処女マリアの幻視の書』が作られたが、異端的な書物としてパリで燃やされたことが記録に残っている。 『精霊の職務の書』(The Book of the offices of the spirits) 1260年代にロジャー・ベーコンが当時出回っていた偽ソロモン文書の一つに挙げているもの。現存しないため内容は不明だが、17世紀に出回ったグリモワール『レメゲトン』の第一部「ゴエティア」と同様に、悪霊を列挙し、それぞれの特徴と役割を記した書物と推測される。1508年にトリテミウスが同様の表題をもつ書物(De Oficiis Spirituum)に言及している。また、ヨーハン・ヴァイヤーの『悪霊の幻惑について』の補遺「悪魔の偽王国」(1577年)には『精霊の職務の書』(Liber officiorum spirituum)を参照したと記されている。「悪魔の偽王国」は儀式魔術に批判的とされる人物によって書かれたものだが、内容は「ゴエティア」と密接に関連しており、「ゴエティア」の異本とみなす向きもある。ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジ所蔵の16世紀の写本 Livre des esperitz も同趣の書物である。 『アルマンダル』(Almandal)または『アルマンデル』(Almandel) ソロモンに帰せられる魔術書のひとつで、四方の天使の召喚を扱っている。13世紀にアルベルトゥス・マグヌスが言及しており、15世紀のドイツ語版とラテン語版が現存する。「アルマンダル」はアラビア語に由来し、「ソロモンのアルマデル」は銀の尖筆で神聖名やシジルを刻み込む蝋板を指す。 『ピカトリクス』(Picatrix) 『天使ラジエルの書』(Sefer Raziel HaMalakh)
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