中世西洋
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/20 06:52 UTC 版)
中世に入っても、移乗攻撃は海戦での主要な攻撃手段であった。中世のガレー船は水中の衝角が消滅し、古代のような船底を狙った体当たり攻撃が行われなくなっており、移乗攻撃がいっそう決定的な役割を果たした。船首水上に突き出した衝角は、移乗攻撃の際には敵船へ乗り込むための橋として機能した。接舷すると、鉤付きの綱で敵船を拘束して兵士を突入させた。 中世の大西洋北部や北海では、ガレー船に代わって帆船であるコグ船が軍船としても使用されていたが、基本的な戦闘様式は同じで、弓矢や大砲による射撃戦の後に接舷しての白兵戦が行われた。丸型船体で帆の種類が少ないコグ船は操縦が困難であるため、風向きにより思うように敵艦に接舷できず、射撃戦が長期化する傾向があった。有利なタイミングで接近して移乗攻撃ができるよう、風上を確保することが戦術上重要であった。 14世紀ころから西洋の軍船に大砲が搭載されるようになったが、初期の大砲には船を沈めるような破壊力は無く、海戦の様相を大きく変えるものではなかった。従来の弓矢と並んで、移乗攻撃の前段としての人員殺傷用兵器として使用された。1340年のスロイスの海戦では原始的な射石砲が使用されたが、特に大きな効果があったとの記録は無い。
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