中世盛期のヨーロッパ、11世紀から12世紀にかけて
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「芸術における膣と外陰部」の記事における「中世盛期のヨーロッパ、11世紀から12世紀にかけて」の解説
シーラ・ナ・ギグは、11世紀から12世紀に制作された、裸の女が自身の誇張された女性器を見せつけている彫像である。これらのグロテスクは、アイルランドやグレートブリテン島にある教会や城、およびその他の建物に見られるもので、男性のグロテスクが共に配置されている場合もある。ケリー県のラトゥーにある円塔(鐘楼として建てられたアイルランド特有の塔。目印や見張りに使われた。)は面白い例だろう。近年の修復作業中に、北側の窓にシーラ・ナ・ギグが発見されたが、これは円塔に残されたシーラ・ナ・ギグの唯一の例である。このレリーフを元にしたレプリカは、トラリーの博物館で見ることができる。また、もう一つの有名な例としては、イングランド、ヘレフォードシャーののものがある。 こういった、女性器を強調した彫刻には死や邪悪な存在を払う力があると言われている。ガーゴイルやハンキーパンク(英語版)のようなグロテスクの彫刻は、ヨーロッパ中の教会建築の装飾に使われ、ドアや窓などの建物の開口部を守るように配置されている。一般的に、これらの像が作られた目的は厄祓いだとされる。 なぜ中世にこのような像が制作され、建造物に取り付けられたのかについては、いくつかの見解が存在する。ウィアーとジャーマンは著書" Images of Lust: Sexual Carvings on Medieval Churches"(『愛欲のイメージ:中世教会における性的な彫刻』)において、以下のように主張している。曰く、シーラ・ナ・ギグが奇怪な様式で作られ教会に取り付けられたのは、中世社会の価値基準において、女性がおぞましい性的欲望をもち罪深く人間を堕落させる存在だとされていたことの表れである、というものだ。一方、ジョアンヌ・マクマホンとジャック・ロバーツは、キリスト教布教以前の豊穣信仰あるいは地母神崇拝の名残であるという説を唱えている。 「ダヌ」も参照 2016年に出版されたスター・グードの著作"Sheela na gig: The Dark Goddess of Sacred Power"(『シーラ・ナ・ギグ:聖なる力の闇の女神』)は、歴史を横断しつつこれらのイメージを辿りながら、現代アート、とりわけフェミニスト・アートに触れつつ、「女性の神聖な誇示」の普遍性と、その意味と機能について、起源である先史時代の洞窟壁画まで立ち返って議論を展開させている。
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