不服申立て・取消訴訟
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/08/09 04:27 UTC 版)
「労働者災害補償保険」の記事における「不服申立て・取消訴訟」の解説
保険給付に関する決定に不服のある者は、各都道府県労働局に置かれる労働者災害補償保険審査官に対して審査請求をすることができる(第38条、40条)。この審査請求は、審査請求人が原処分のあったことを知った日の翌日から起算して3か月を経過したときはすることができない(労働保険審査官及び労働保険審査会法第8条)。保険給付に関する決定の処分の取消の訴え(取消訴訟)は、審査請求に対する審査官の決定を経た後か審査請求をした日から3か月を経過しても審査請求についての決定がない場合(審査官が棄却したものとみなすことができる)でなければ提起することはできない(審査請求前置主義)。 審査官の決定に不服のある者は、厚生労働省内に置かれる労働保険審査会に対して再審査請求をすることができる(二審制)。再審査請求は、決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月を経過したときはすることができない。なお、従前、原則、審査請求及び再審査請求手続を経なければ出訴できないという二重前置があったが、2016年の労災保険法改正を含む「行政不服審査法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律」(平成26年法律第69号)の施行により、再審査請求手続を経なくても取消訴訟を提起することができるようになった。また、審査請求の日から3か月を経過しても審査官による審査請求についての決定がないときは、審査官が審査請求を棄却したものとみなし、取消訴訟を提起することができる。 「保険給付に関する決定」以外の処分(事業主からの費用徴収に関する処分、不正受給者からの費用徴収に関する処分、特別加入の承認に関する処分等)について不服のある者は、最上級庁たる厚生労働大臣に対して直接審査請求を行う(一審制、第41条)。これらの処分の場合は審査請求前置主義は適用されない。 労働基準監督署長の行う労災就学援護費の支給又は不支給の決定は、法を根拠とする優越的地位に基づいて一方的に行う公権力の行使であり、被災労働者又はその遺族の上記権利に直接影響を及ぼす法的効果を有するものであるから、抗告訴訟の対象となる行政処分に当たる(最判平成15年9月4日)。これを受け、社会復帰促進等事業のうち、以下の事業については処分性があるものとして取り扱う。なおこれらは第38条でいう「保険給付に関する決定」には該当しないので、労働保険審査官及び労働保険審査会法による審査請求の対象とはならず、行政不服審査法による審査請求の対象となる。また行政事件訴訟法による抗告訴訟の対象となる(平成22年12月27日基発1227第1号)。なお特別支給金の支給・不支給の決定については処分性はないものとされる。労災就学援護費・労災就労保育援護費の支給・不支給 義肢等補装具費の支給の承認・不承認 外科後処置の承認・不承認 アフターケア健康管理手帳の交付・不交付 アフターケア通院費の支給・不支給 労災はり・きゅう施術の承認・不承認
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