不備の指摘とは? わかりやすく解説

不備の指摘

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/22 08:27 UTC 版)

ケネス・ロゴフ」の記事における「不備の指摘」の解説

マサチューセッツ大学アマースト校大学院生トーマス・ハーンドンと、教授のマイケル・アッシュ、ロバート・ポリンらは論文の中で、ラインハートとロゴフが発表した公的債務に関する研究について集計表におけるコーディング誤りなどがあった可能性があるとの研究結果発表している。 ロゴフ=ラインハートの論文には3つの問題点があった。対GDP比率で債務90%を超える国家群の110年分のデータのうち96年分しか論文とりあげられず、その除外されデータ(主に1940年代オーストラリアカナダニュージーランド)では国家債務超過健全な経済成長両立していることがハーンドンらの調査明らかになった。例えカナダではこの期90%を超える債務があり同時に3%の経済成長記録していた。統計重みつき計算は雑であり、例えば、19年90%以上の債務があり2.6%の成長記録していた英国1年間水準債務で7.6%マイナス成長だったニュージーランドとを同列重み処理していた。データ処理の際に使用したスプレッドシートでは本来30行から49行まで含める必要があったが、ロゴフらは44以降見落としていた。26年90%以上の債務維持しつつ平均成長率が2.6%だったベルギーなどはこの無視されライン属していた。 結局ハーンドンらによる修正値では、対GDP比率で90%以上の債務毎年継続的に保有する国の平均成長率2.2%であり、元のラインハートらが下した0.1%のマイナス成長とは大きく異なるものだった。ディーン・ベーカーによればラインハートとロゴフは彼らが計算使用したデータ非公開にしており、その他の研究者がロゴフ=ラインハート論文検証しようと四苦八苦していたという。ハーンドンも、そのデータを得るまではどうしても計算合わず悩んでいた。 2013年4月17日、ロゴフらは、ハーンドン指摘について認めたが、その誤り偶発的なのだった釈明し、また「中心的なメッセージ」は依然として有効だとしている。ハーンドンはこれに対してロゴフ=ラインハート論文でのデータ選択的除外や非伝統的な重みつき計算はロゴフらの意図的なものではなく単にロゴフらの純粋なミスであると我々ハーンドンアッシュポリン仮定している、とハーンドン述べた。その前置きをした上でハーンドンはロゴフらの反論再反論する形で、「データ選択的除外」、「非伝統的重みつき計算」というハーンドン使った表現は妥当であるとした。喩えて言うなら、ある野球チームが(本来9人だが)2人構成されているとして、その1人目100打数20安打打率2割、もう一人が1打数1安打打率10割とする。このときそのチーム打率101打数21安打打率は2割弱になるのが普通だが、ロゴフ=ラインハートの「非伝統的重みつき計算」でそのチーム打率計算すると、その2人の打者打率に同じ重み与えて(すなわち打数を同じとして)単純計算するので、6割となってしまう。またロゴフ=ラインハート論文の「中心的なメッセージ」にも疑問符がつく理由ひとつとして2000年から2009年にかけての時期では債務対GDP比30から60%の国家群よりも90%以上の国家群のほうが平均実質GDP成長率が高いことがあげられる

※この「不備の指摘」の解説は、「ケネス・ロゴフ」の解説の一部です。
「不備の指摘」を含む「ケネス・ロゴフ」の記事については、「ケネス・ロゴフ」の概要を参照ください。

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