不充足理由律
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:07 UTC 版)
「なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」の記事における「不充足理由律」の解説
充足理由律に対する反例としてよく挙げられるもう一つの例は、一般的な解釈での量子力学における波動関数の収縮である。量子力学は統計的に非常に精緻な予測を行うが、しかし「具体的なある特定の一回の試行」に関して「なぜあの状態ではなく、この状態に確定したのか」といった問いには、答えられるような理由(原因や内部メカニズムにあたるもの)は一般にないと考えられている。このことは不充足理由律(Principle of Insufficient Reason)、または無差別原理(Principle of indifference)と呼ぶ。つまり世界が存在することに理由はなく、「世界はただ在る」。20世紀のイギリスの哲学者バートランド・ラッセルはこう述べている。「宇宙はただそこにある、そしてそれが全てだ」 この立場を取ったときに現れるひとつの疑問は「なぜ世界が存在することに理由はないのか?」という問いである。この問いに再び「理由がない」と答えた場合、さらに「なぜ『世界が存在することに理由がない』ということに理由がないのか?」という次の問いが発生する。これは無限後退の状況を生むが、ロバート・ノージックはこの階層性を持った問いの状況について、ある段階で解答が変化する可能性なども含めて、分析を行っている。
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