上級財
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/01 11:07 UTC 版)

上級財(上級財、normal good)または正常財とは、下級財(劣等財)とは異なり、所得の増加によって需要が増加する財である[1]。例えば賃金の上昇によって所得が増加した場合、その結果として需要が増加する財が上級財と呼ばれる。逆に、賃金の低下や解雇などによって所得が減少した場合、上級財の需要は減少する。
財の分類について
「上級財」は「下級財(または劣等財)」の程度的反対語である。もしある商品の需要が所得とともに増加するが、支出の割合が増加しないなら、それは必需品(necessity goods)である。もしある商品の需要が所得とともに増加するが、支出の割合が増加するなら、それは奢侈財(luxury goodsまたはsuperipr goods)である。
日本の経済学の教科書等では、「正常財(normal good)」を「上級財」の同義語とするケースが一般的である[2][3][4]。
分析
上級財においては、所得と需要の間に正の相関関係がある。つまり、所得と需要は同じ方向に変化する。このことは、上級財における需要の所得弾力性が正の値を持つことを意味する[1]。
経済学では、弾力性、とりわけ需要の所得弾力性の概念が、上級財を説明する鍵となる。需要の所得弾力性は、消費者所得の変化に対して財の需要がどの程度変化するかを測定するものであり、次の式で計算される。
- 需要の所得弾力性 = 需要量の変化率 ÷ 消費者所得の変化率。
数学的には次のように表される。
-
このグラフは、所得の変化による正常財と奢侈財の需要の変化を示している。所得が500から700に増加すると、正常財の需要は800から900に増加する。 出典
- ^ a b c Varian, Hal (2003). “6” (英語). Intermediate Microeconomics: A Modern Approach (6th ed.). W. W. Norton & Company
- ^ “消費者理論 上級財・中級財・下級財・必需財・奢侈財”. WIIS. 2025年8月1日閲覧。
- ^ “「奢侈品」「必需品」「下級財」とは?-公務員試験ミクロ経済学”. 独学で目指す!公務員試験勉強塾 Tutoring For EveryOne. 独学で目指す!公務員試験勉強塾 Tutoring For EveryOne. 2025年8月1日閲覧。
- ^ “ミクロ経済学講義資料” (PDF). 神戸大学. 2025年8月1日閲覧。
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