三好型遠位型筋ジストロフィー
本型は徳島大学の三好和夫名誉教授によって最初に報告されました。常染色体劣性遺伝をとり遺伝子座は第2染色体単腕(2p13)にあり、その遺伝子産物はジスフェルリン(dysferlin)と名付けられました。この蛋白は細胞膜に局在することは免疫組織学的染色で証明されています。診断のスクリーニングに役立つ。このジスフェルリン遺伝子変異と蛋白の欠損は肢帯型筋ジストロフィー(LGMD2A)でも見いだされています。肢帯型と診断された症例の中で、このジスフェルリンがどれくらいの頻度で欠損しているのかはまだ不明です。最近SJLマウスという突然変異種はジスフェルリンが欠損していて、本症のモデル動物として注目を集めています。 臨床症状は20−30台に下腿(とくに下腿後部のヒラメ筋や腓腹筋)から侵されるので、歩行の異常で気付かれます(図35)。進行は速いものでは発症後10年位で車椅子生活となります。おなじ家族の中でも症状に差があるといわれています。この病気では心臓や呼吸器は侵されにくいので生命的予後はよいとされています。
筋ジストロフィーですので血清クレアチンキナーゼ(CK)値は著明に上昇します。筋CT/MRIでは下腿の腓腹筋やヒラメ筋が強く侵されていることが分かります(図36)。筋生検では筋ジストロフィーの変化(筋線維の壊死、再生、結合組織の増加)があります。ジスフェルリン抗体を使って生検筋を免疫組織学的染色すると膜蛋白が欠損しているので診断が確定します。
頭部、上肢にはほとんど異常がみられない。 本症では、ふくらはぎの筋肉が特に強く侵されるため、下腿は細くなっている。 | |
図35:三好型遠位型筋ジストロフィー |
ふくらはぎの中央部の横断像。 足の後面のヒラメ筋(★)、腓腹筋(★★)が 特に強く侵されている。 | |
図36:三好型遠位型筋ジストロフィーの筋CT像 |
三好型遠位型筋ジストロフィーと同じ種類の言葉
このページでは「筋疾患百科事典」から三好型遠位型筋ジストロフィーを検索した結果を表示しています。
Weblioに収録されているすべての辞書から三好型遠位型筋ジストロフィーを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
全ての辞書から三好型遠位型筋ジストロフィー を検索
Weblioに収録されているすべての辞書から三好型遠位型筋ジストロフィーを検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
全ての辞書から三好型遠位型筋ジストロフィー を検索
- 三好型遠位型筋ジストロフィーのページへのリンク