レドックス型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/03/30 17:53 UTC 版)
詳細は「レドックス・フロー電池」を参照 レドックス(酸化還元)フロー電池は、電気化学種が電解液に溶解している二次電池であり、再充電が可能である。従来型電池のような固体内拡散やインターカレーションではなく、不均一電子移動反応を用いるため、化学電池というより燃料電池といったほうがより適切である。産業的には、燃料電池は H2/O2 型のように一次電池と考えられることが多いが、それに限られるものではない。NASAのヘリオス試作機に搭載された一体化再生型燃料電池(英語版)も可逆型燃料電池の例として挙げられる。欧州特許機構(英語版)ではレドックスフロー電池 (H01M8/18C4) を再生型燃料電池 (H01M8/18) の下位分類として位置付けている。レドックスフロー電池の例として、バナジウムレドックスフロー電池や多硫化ソーダ/臭化ソーダ電池(英語版) (Regenesys)、ウランレドックスフロー電池が挙げられる。レドックス燃料電池は商業的にはあまり一般的ではないが、多くのシステムが提案されている。 試作型の亜鉛-多ヨウ化物(英語版)フロー電池は 7008601200000000000♠167 Wh/l (ワット時毎リットル)のエネルギー密度を達成している。 それ以前の亜鉛-臭化物セルでは 7008252000000000000♠70 Wh/l に達している。比較のためにリン酸鉄リチウムイオン電池の容量を挙げると 7008838800000000000♠233 Wh/l である。亜鉛-多ヨウ化物電池は他のフロー電池に比べて酸性電解液を用いておらず、不燃性のため安全で、動作温度範囲が-20 ℃から+50 ℃で、しかも冷却機構がいらず重量的にも容積的にも有利であるとされる。未解決の問題として、負極に膜から浸透してきた亜鉛が蓄積し、効率を下げるという問題がある。Zn デンドライト形成のため、亜鉛-ハロゲン化物電池は高い電流密度 (7002200000000000000♠>20 mA/cm2) で動作させることができず、出力密度に劣る。ZnI電池の電解液に、ある種のアルコール類を加えることで若干この問題を軽減することができる。 電池が完全に放電しきったとき、両方のタンクには同じ亜鉛陽イオン (Zn2+) とヨウ化物陰イオン I− の混合物が残ることになる。充電時には、片方のタンクには別の陰イオン、多ヨウ化物イオン I3− が含まれる。この電池は外部タンクから液体をセルスタック領域に送りこみ、そこで液体が混ざりあうことにより電力を産み出す。スタック内では亜鉛イオンが選択的浸透膜を通過し、負極側で金属亜鉛へと変化する。 伝統的なフロー電池の化学構成では比エネルギーが低く、電気自動車に用いるには電池が重くなりすぎ、また比出力が低く、固定型エネルギー貯蔵としては高価になり過ぎる。しかし、近年の水素-臭素フロー電池では面積比出力が 7004140000000000000♠1.4 W/cm2 と向上し、水素-臭素酸フロー電池ではタンク容量あたりの比エネルギーが 7006190800000000000♠530 Wh/kg と向上している。 有機ポリマーと塩水、セルロース膜を用いるシステムも存在する。試作型では 1万回の充電放電サイクルの後も相当量の容量を保つ耐久性が示されている。エネルギー密度は 7007360000000000000♠10 Wh/l。電流密度は 7003100000000000000♠100 mA/cm2 を達成している。
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