ランドの死後
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/14 15:05 UTC 版)
ランドはピーコフを自分の遺産相続人に指名した。遺言執行者として、ピーコフはランドの全著作(パブリックドメインに移行した『アンセム』を除く)の版権を管理している。またピーコフは、ランドの書簡、哲学的日記、フィクションを含む数冊分にわたる未刊行著作の編集と刊行を監督してきた。ボストンのフォード・ホール・フォーラム (Ford Hall Forum) でランドが毎年行っていた講演を、ピーコフは数年にわたり引き継いだ。他にウェストポイントでの士官候補生向け講演や、ギリシャ諸島へのクルーズ中の講演等も行っている。 1985年、ピーコフはアイン・ランド協会を設立した。ピーコフは、1976年に行ったランドの思想に関する連続講義を一冊の書籍にまとめ、『オブジェクティズム:アイン・ランドの哲学』(Objectivism: The Philosophy of Ayn Rand)として出版した。これはオブジェクティズムを包括的に紹介した最初の書籍となった。1990年代中頃には、ピーコフはハリー・ビンズウェンジャー、ピーター・シュワルツ(Peter Schwartz)と共にアイン・ランド協会のオブジェクティビスト・グラジュエート・センター(Objectivist Graduate Center、2000年に Objectivist Academic Centerに改称)で講義を担当した。 1995年から1999年にかけて、ピーコフは哲学と文化について議論する全米放映のラジオ番組のホストを務めた。2006年2月から2007年6月にかけて、ピーコフは電子メールで受けた質問に関するオンラインQ&Aを公開した。このオンラインQ&Aは2007年10月22日から2016年10月31日まで続いたポッドキャストになった。 ピーコフの講義や著書は、アラン・ゴテルフ、ハリー・ビンズウェンジャー、アンドリュー・バーンスタイン(Andrew Bernstein)、タラ・スミス(Tara Smith)他、アイン・ランド協会と協働している著述家達の著作に利用されているだけでなく、デヴィッド・ケリー (David Kelley)の『感覚の証拠』(The Evidence of the Senses)、ジョージ・H.スミス(George H. Smith)の『無神論:神への反証』(Atheism: The Case Against God)、ルイス・トレス(Louis Torres)およびミッチェル・マーダー・カミ(Michelle Marder Kahmi)の論文「芸術とは何か:アイン・ランドの美学」(What Art Is: the Esthetic Theory of Ayn Rand)などピーコフと立場が異なる論者たちの著作にも利用されている。 ピーコフの1983年の連続公演「オブジェクティビズムを理解する」(Understanding Objectivism)は、『アイン・ランド書簡集』(Letters of Ayn Rand)の編者であるマイケル・バリナー(Michael Berliner)によって同名の書籍にまとめられた。また論理的帰納に関するピーコフの理論は、二つの講演「物理学および哲学における帰納」(Induction in Physics and Philosophy)および「帰納を通じたオブジェクティビズム」(Objectivism Through Induction)で最初に提示され、デヴィッド・ハリマン(David Harriman)により書籍『論理的飛躍:物理学における帰納』(The Logical Leap: Induction in Physics)にまとめられた。2012年の著書『DIM仮説』(The DIM Hypothesis)でピーコフは認識統合へのアプローチとして分解(disintegration)、統合(integration)、誤統合(misintegration)の3つを定義し、この仮説を物理学、哲学、教育、政治等の分野に適用している。 ピーコフによる論説は「バロンズ」や「ニュー・スコラティシズム」(The New Scholasticism)などの定期刊行誌にも掲載されている。出演したテレビ番組にはビル・マーの「ボリティカリー・インコレクト」(Politically Incorrect)やビル・オライリーの「ザ・オライリー・ファクター」、C-SPANのパネルディスカッション等がある。またマイケル・パックストンが監督したドキュメンタリー映画「アイン・ランド:ア・センス・オブ・ライフ」(Ayn Rand: A Sense of Life)にも出演した。
※この「ランドの死後」の解説は、「レナード・ピーコフ」の解説の一部です。
「ランドの死後」を含む「レナード・ピーコフ」の記事については、「レナード・ピーコフ」の概要を参照ください。
- ランドの死後のページへのリンク