ランデブーの目的
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/17 21:22 UTC 版)
「ランデブー (宇宙開発)」の記事における「ランデブーの目的」の解説
現在頻繁に行われているランデブーの最大の目的は、宇宙ステーションへの飛行士の往還および物資の補給である。最初にその目的でランデブーが実施されたのは1971年6月6日に発射されたソ連のソユーズ11号だったが、帰還時に船内の空気が漏れる事故が発生し3名の飛行士が死亡した。それ以降、ランデブー飛行は6機のサリュートやスカイラブ、ミール、国際宇宙ステーション (ISS) などに対して数多く行われている。ISSは、ソユーズとスペース・シャトル両方がドッキングできるような設計になっている。 無人船によるステーションへの補給作業も行われていて、ISSに対してはソユーズやプログレス補給船が自動誘導装置を使用する一方で、欧州補給機(ATV)はレーザー誘導システムを使って自動でドッキングをしている。 日本の宇宙ステーション補給機(HTV)も2009年9月11日、H-IIBロケットによって発射され、9月18日にISSとのドッキングを果たした。HTVは自動操縦ではなく、ISSに近寄った後、ロボット・アームに捕獲され船内からの操作によって結合される。 ランデブーはまた、ハッブル宇宙望遠鏡の修復作業のような様々な目的のためにも行われる。アポロ計画では月着陸船が月面に降り立った後、上昇段が再び離陸して月周回軌道上で司令・機械船とドッキングをした。またスペース・シャトル「エンデバー」の最初の飛行 (STS-49) では、インテルサット6号 (F-3) 通信衛星が軌道変更を行えるよう、ロケットエンジンを取りつける作業が行われた。 将来的な可能性としては、現在計画中のハッブル自動操縦ロケットや、あるいは燃料を使い果たした静止衛星や静止軌道投入に失敗した衛星とランデブーを行うCX-OLEVなどが考えられる。CX-OLEVは衛星を所定の軌道に維持し、または使い終わった静止衛星を墓場軌道に乗せる。またその作業は一個の衛星だけに行われるものではなく、他の衛星に対してもくり返し使用することが可能である。静止トランスファ軌道から対地同期軌道への移行は数ヶ月かかるため、ホールスラスタ(イオンエンジン)を使用して徐々に行われる。 その他、21世紀初頭までに行われた主な宇宙船同士のドッキングおよび分離作業には、以下のようなものがある。 ソユーズ宇宙船が、一旦ISSやサリュートにドッキングした後、機体を分離して他のドッキングポイントに移動した。 アポロ計画において、サターン5型ロケットの第三段が地球周回軌道上でエンジンを再点火し、月軌道に移行してから1時間後に、月着陸船(LM)を格納庫から取り出すために司令・機械船(CSM)が一旦ロケットから分離された。その手順は以下に示す。この時司令船には飛行士が搭乗していたが、着陸船は無人であった。まずCSMがロケットから分離され、LMを覆っていた四枚の保護パネルが展開した。 CSMが180°向きを変え、機首を着陸船の方に向けた。 CSMが機体を前進させ、LMとドッキングした(この時、LMはまだ第三段ロケットに接続されていた)。 合体したCSMとLMが、ロケットから分離した。 技術試験衛星「おりひめ」と「ひこぼし」が、自動操縦による無人機同士のランデブー・ドッキング実験を行った。 不審な人工衛星を攻撃する一部の衛星攻撃兵器(ASAT)の行動も、ランデブーの範疇に含めることができる。ASATは爆発物や核兵器は使用せず、体当たりして目標を攻撃する。
※この「ランデブーの目的」の解説は、「ランデブー (宇宙開発)」の解説の一部です。
「ランデブーの目的」を含む「ランデブー (宇宙開発)」の記事については、「ランデブー (宇宙開発)」の概要を参照ください。
- ランデブーの目的のページへのリンク