ラップトップ機と次の開発
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/07/11 00:35 UTC 版)
「マルチステーション5550」の記事における「ラップトップ機と次の開発」の解説
1987年に発売されたIBM パーソナルシステム/55 モデル5535は日本IBMが開発した最初のラップトップパソコンであった。 エプソン製のバックライト方式液晶ディスプレイを搭載し、サイズはW310×D350×H100mm、重量は8.1kgであった。日本IBMの堀田一芙(当時、営業推進企画ワークステーション担当)は「そもそも、日本人が楽に持ち運びできる重さは3kg。それが最初から無理ならば、頑丈にして8.1kgにした。」とコメントし、都心の狭いオフィスに適した省スペース・省エネルギーなパソコンであると主張した。 液晶ディスプレイの技術的な制約から、ディスプレイの文字モードでの解像度は738×525ドットとなり、16×16ドットフォントでの表示になった。これは既に旧型となっていた5550の16ドットフォント表示と同じアーキテクチャで、PS/55対応ソフトが約1000本だったのに対して5535対応ソフトは約30本と、対応ソフトの少なさが懸念に上がった。IBMのメインフレームと接続するためのオプションカードが用意され、通信端末機能にも力を入れていた。 当時、日本で登場し始めた各社のラップトップパソコンは640×400ドットのディスプレイを採用し、738×525ドットを採用した機種は他に例がなかった。この仕様は競合他社を上回っていたが、そのことが原価に大きく影響した。エプソンで独自解像度の液晶パネルを開発するにあたって、そこで使われていたものと全く別工程の技術や開発ツールが必要になった。また、画面解像度の変更はソフトウェアの移植を難しくさせ、対応ソフトがなかなか揃わなかった。日本IBMと年間数億円の取引があった顧客が5535よりも東芝のJ-3100シリーズを選んだ、という営業担当からの情報に、開発陣は焦りを感じ始めた。開発陣は5535-Mの開発を終えると同時に、640×480ドットの薄型ディスプレイとDOS/Vを搭載した普及型VGAパソコン『PS/55 note』の構想を固めていった。
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