ヨーロッパ暗黒時代とルネサンス
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/04 04:21 UTC 版)
「水理学」の記事における「ヨーロッパ暗黒時代とルネサンス」の解説
中世ヨーロッパの暗黒時代において、水理学もまた他の科学と同様に大きな発展をみせることはなかった。ただし、全く発展がなかった訳ではなく、例えば先のアルキメディアン・スクリューが水車に応用されるなど、わずかながらの発展は存在した。 結局、古代ギリシア時代に誕生した水理学は、暗黒時代では大きな発展をみせることなく、14世紀に入りルネサンスが起こると、ようやく発展することになる。 ルネサンスの時代において最も重要な人物の1人がレオナルド・ダ・ヴィンチである。彼は、アルノ川の改修工事を行ったり、ロアール川、ソーヌ川といった河川の改修・運河を設計した。さらに、『水の運動と測定』を書き開水路流れなどに対して科学的な考察を加えたり、定性的ではあるが「流れの連続式」を初めて明示し、確立させた。晩年には、ロアール川のベンチに座っている自画像と共に橋脚周りの流れを詳細にスケッチしており、このスケッチに描かれている流れは現在の水理学の観点からみてもほとんどおかしな点はない。このように、ダ・ヴィンチは水理学に初めて科学的な考察を加えた人間であり、禰津家久はダ・ヴィンチを「水理学の父」と呼んでいる。 また、ガリレオ・ガリレイは落下体との比較のため水路実験を行っていた。このときに使った傾斜水路は、現在もパドヴァ大学に保存されている。 ルネサンス以後は、主にイタリア学派が中心となって水理学を発展させた。ガリレオの弟子でもあったベネデット・カステリ(英語版)は流れの連続式をより明確にし、エヴァンジェリスタ・トリチェリはタンクの流出速度に関する実験を行いトリチェリの定理を確立させた。さらに、ドメニコ・グリエルミニ(イタリア語版)は開水路の抵抗則について、屋外での観察からその初歩を見出した。一方、フランス学派でも、エドム・マリオットが噴流の研究を行ったり「水理学(hydraulics)」という単語を初めて使用した。 このように、ルネサンスとその後の発展により水理学の初歩が形成されていったが、数学的な未熟さもあり、その成果を定式化するには至らなかった。
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