ユークリッド環
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/11/21 13:40 UTC 版)
数学の特に抽象代数学および環論におけるユークリッド整域(ユークリッドせいいき、英: Euclidean domain)あるいはユークリッド環(ユークリッドかん、英: Euclidean ring)とは、「ユークリッド写像(次数写像)」とも呼ばれるある種の構造を備えた環で、そこではユークリッドの互除法を適当に一般化したものが行える。この一般化された互除法は整数に対するもともとの互除法アルゴリズムとほとんど同じ形で行うことができ、任意のユークリッド環において二元の最大公約数を求めるのに適用できる。特に、任意の二元に対してそれらの最大公約数は存在し、それら二元の線型結合として書き表される(ベズーの等式)。また、ユークリッド環の任意のイデアルは主イデアル(つまり、単項生成)であり、したがって算術の基本定理の適当な一般化が成立する。すなわち、任意のユークリッド環は一意分解環である。
注釈
出典
- ^ 例えば、山崎 1976, p. 176, 注意「さらに δ(ab) ≥ δ(a) を要請するのが普通であるが」
- ^ 山下倫範. “ユークリッド環についての注意 (PDF)”. 2012年5月9日閲覧。
- ^ 例えば(加古 2009), (坂井 2012, 定義4.9)
- ^ 例えば (草刈 2005), また Euclidean domain - PlanetMath.(英語) では "Euclidean valuation" (ユークリッド賦値) と言っている
- ^ 例えば (都築 2008, 第8節冒頭. ただし定義は第7節 定義7.3), (草刈 2005, 定義10.3), また MathWorld では "integer norm" (整数値ノルム) と言っている
- ^ 例えば 森田 1987, p. 87
- ^ 山崎 1976, p. 176, 注意「なお,δ の値として −∞ を許すのは,整式の次数に利用する際の便宜のためである.また,δ の定義域から 0 を除かない方が記述が簡明であろう」
- ^ Fraleigh & Katz 1967, p. 377, Example 1.
- ^ Fraleigh & Katz 1967, p. 377, Example 2.
- ^ Samuel 1971.
- ^ Euclidean domain in nLab, 4. properties.
- ^ Fraleigh & Katz 1967, p. 377, Theorem 7.4.
- ^ Fraleigh & Katz 1967, p. 380, Theorem 7.7.
- ^ Motzkin, Theodore (1949), “The Euclidean algorithm”, Bulletin of the American Mathematical Society 55 (12): 1142–1146, doi:10.1090/S0002-9904-1949-09344-8
- ^ Weinberger, Peter J. (1973), “On Euclidean rings of algebraic integers”, Proceedings of Symposia in Pure Mathematics (AMS) 24: 321–332
- ^ Harper, Malcolm; Murty, M. Ram (2004), “Euclidean rings of algebraic integers”, Canadian Journal of Mathematics 56 (1): 71–76, doi:10.4153/CJM-2004-004-5
- 1 ユークリッド環とは
- 2 ユークリッド環の概要
- 3 例
- 4 参考文献
- 5 外部リンク
Weblioに収録されているすべての辞書からユークリッド環を検索する場合は、下記のリンクをクリックしてください。
全ての辞書からユークリッド環 を検索
- ユークリッド環のページへのリンク