ユークリッド構造
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/11/28 14:18 UTC 版)
詳細は「ユークリッド空間」および「直交座標系」を参照 点乗積 x ⋅ y = ∑ i = 1 n x i y i = x 1 y 1 + x 2 y 2 + ⋯ + x n y n {\displaystyle \mathbf {x} \cdot \mathbf {y} =\sum _{i=1}^{n}x_{i}y_{i}=x_{1}y_{1}+x_{2}y_{2}+\cdots +x_{n}y_{n}} はベクトル空間 Rn 上のノルム ‖ x ‖ = √x⋅x を定める。任意のベクトルがそのユークリッドノルムを持つならば、任意の二点間に距離 d ( x , y ) = ‖ x − y ‖ = ∑ i = 1 n ( x i − y i ) 2 {\displaystyle d(\mathbf {x} ,\mathbf {y} )=\|\mathbf {x} -\mathbf {y} \|={\sqrt {\sum _{i=1}^{n}(x_{i}-y_{i})^{2}}}} が定義され、Rn には(そのアフィン構造に加えて)距離空間の構造が入る。 Rn のベクトル空間の構造と同じく、上記の点乗積およびユークリッド距離は暗黙的にその存在が仮定されているのが通例である。しかし厳密に言えば、n-次元実数空間と n-次元ユークリッド空間は異なる数学的対象である。任意の n-次元ユークリッド空間は、点乗積およびユークリッド距離が上記の形になるデカルト座標系(直交座標系)を持つが、一つのユークリッド空間上に直交座標系は「無数に」存在する。 逆に、ユークリッド距離に対する上記の式は Rn 上に「標準」ユークリッド構造を定めるが、それが唯一可能なユークリッド構造というわけではない。実際、任意の正定値二次形式 q は固有の「距離」√q(x − y) を定義するが、これは ∃ C 1 > 0 , ∃ C 2 > 0 , ∀ x , y ∈ R n : C 1 d ( x , y ) ≤ q ( x − y ) ≤ C 2 d ( x , y ) {\displaystyle \exists C_{1}>0,\ \exists C_{2}>0,\ \forall \mathbf {x} ,\mathbf {y} \in \mathbb {R} ^{n}:C_{1}d(\mathbf {x} ,\mathbf {y} )\leq {\sqrt {q(\mathbf {x} -\mathbf {y} )}}\leq C_{2}d(\mathbf {x} ,\mathbf {y} )} を満たすという意味においてユークリッド距離とそう変りない。このように距離を取り替えても、例えば完備性など、幾らかの性質は保たれる。 上記の距離函数の同値性は √q(x − y) を任意の凸正斉一次函数(つまりベクトルのノルム)M に対する M(x − y) で取り替えても正しい(例えばミンコフスキー距離を参照)。このように Rn 上の任意の「自然な」距離がユークリッド距離とそう大差ないという事実があるため、職業数学者の手になるものでさえ Rn が n-次元ユークリッド空間と常に区別されるわけではない。
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