ユークリッド原論にみる原型
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/20 08:09 UTC 版)
「余弦定理」の記事における「ユークリッド原論にみる原型」の解説
ユークリッド原論第1巻命題47においてピタゴラスの定理が示され、第2巻の最初の方では (x + y)2 = x2 + y2 + 2xy などの二次式の関係が図形問題として述べられる。 ユークリッド原論で扱われているのはこのような数式ではなく x2 は x を一辺の長さとする正方形の面積として、xy は x と y を辺の長さとする長方形の面積として表され、正方形や長方形を比べることによって命題が述べられる。 それらを背景として第二余弦定理とほぼ同等な命題が現れる。しかし三角関数がなかった時代のものなので、現代のように角度と辺の長さの関係として捉えられていたわけではない。余弦が明示的に使われているわけではなく、特定の辺の長さを現代的に余弦を用いて表現すると一致するという意味である。同じ意味で第一余弦定理 c = a cos β + b cos α に対応するものも考えてみると、C から AB に下ろした垂線の足を H としたとき、辺 AB の長さは AH と HB の長さの和ということを示しているだけの定理なので、三角形の辺の長さの関係を表し、特に第一余弦定理を表しているといえる命題といったものはユークリッド原論の中にはない。敢えて言えば、三角形ではなく線分の内分、外分に関する命題ということになる。
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