余弦定理とは? わかりやすく解説

余弦定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/10/29 04:29 UTC 版)

余弦定理(よげんていり、: law of cosines, cosine formula)とは、平面上の三角法において三角形の内角の余弦と辺の長さとの間に成り立つ関係を与える定理である[1]。余弦定理は広義には、本題(第二定理)とそれを証明するための補題(第一定理)からなり、第一定理に言及するときそれらは区別される。ただし第一定理と第二定理は実は同値であり、変数の少ない第二定理が計量の上で実用的とされる。そのため、単に余弦定理と言った場合、第二定理を指す。

三角形の角と辺の関係

概要

余弦定理は、内角をその余弦でとらえる。ここで余弦とは角の余角に対する正弦のことであり、余角とは、自身の大きさとの和が直角になる角のことである。

余弦をとらえるのでは直接内角をとらえたことにはならないが、実際には余弦の値に対する内角は一意に決まる。なぜなら、三角形の内角は 0 < x < ππ円周率)の範囲を取り、その範囲に制限した余弦関数 y = cos x狭義減少全単射となるからである。式で表すと逆三角関数 x = arccos y となり、数値計算できる。したがって、余弦定理により三角形の内角と辺の関係をとらえることができる。

△ABC において、a = BC, b = CA, c = AB, α = ∠CAB, β = ∠ABC, γ = ∠BCA とすると、

a2 = b2 + c2 − 2bc cos α
b2 = c2 + a2 − 2ca cos β
c2 = a2 + b2 − 2ab cos γ

が成り立つ。これらの式が成り立つという命題を余弦定理、あるいは第二余弦定理という。

余弦定理は 1つの内角の大きさとそれをはさむ 2辺の長さが分かっていれば、対辺(残りの辺)の長さが決まるという定理である。このことは三角形の合同条件に対応している。逆に 3辺の長さが分かっていれば

鋭角三角形の場合における第一余弦定理の一つ c = a cos β + b cos α は、図のようになる。

正弦定理の一部との同値性

第一余弦定理は正弦定理の一部と同値となる。ここではそれも含めた証明を行う。

b の対角が直角 β = π/2 の場合は、cos β = 0 となり cos β を含む第一余弦定理は

a = b cos γ
c = b cos α

となる。辺 b直角三角形の斜辺であるため、これは余弦関数の定義そのものである。

以下、βγ は直角ではないとする。すなわち cos βcos γ0 ではないとする。

正弦定理により

三平方の定理による導出

第二余弦定理は、三平方の定理を利用すれば、三角法の定理(正弦定理や第一余弦定理など)を使わずに導出することができる。ただし垂線を引くので △ABC の 1つの内角と 90度の大小関係で場合分けする必要がある。

△ABC において、γπ/2 の場合、B から直線AC に下ろした垂線の足を H とすると、BH = a sin γ, CH = a cos γ, AH = AC − CH = ba cos γ であり、△ABH に三平方の定理を使えば

ユークリッド原論第2巻命題12では AB2 = CA2 + BC2 + 2CA × CH が示されている

ユークリッド原論第2巻命題12では、鈍角三角形の鈍角に対応する第二余弦定理がピタゴラスの定理を用いて示されている。現代的に書けば

γ > π/2 のとき B から AC に下ろした垂線の足を H とする。H は線分 AC 上ではなく ACC の方へ延長した半直線上にある。d = CH, h = BH として △ABH△CBH にピタゴラスの定理を適用すると





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