代数的整数と代数的整数論
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/07/18 03:21 UTC 版)
「合同算術」の記事における「代数的整数と代数的整数論」の解説
詳細は「代数的整数論」を参照 合同算術はフェルマーの大定理を分析するためのよい枠組みを与えた。しかし、n が 10 より大きいとき、ガウスの方法に準じて構成される代数的整数の環を、ディリクレは obstruction(邪魔なもの)と呼んだ。これらの整数環ではその(乗法逆元を持つ元全体の成す)単数群が、ガウスの研究とは異なり、もはや巡回群や有限アーベル群ではないことが示せる。それは整数の加法群のコピーを含み、無限群である。この結果はディリクレの単数定理と呼ばれる。このような新しい状況では、付随する環がユークリッド環でないため、ガウス整数に用いた合同算術の道具が使えないという障害 (obstruction) を生じる。 素数が存在しない環における素数の代替として、エルンスト・クンマーは、今日ではイデアルを用いて定式化される商の一般化に関する道具を用いた。代数的整数論ではそれまでと異なるいくつかの手法が取り入れられる。基本的な道具は、その元が代数的整数と呼ばれ、デデキント環と呼ばれる構造を持つ環である。クンマーは n が正則素数と呼ばれる特定の種類の素数であるときのフェルマーの大定理を証明した。100 以下の値でこれに相当しないものは 37, 59, 67 の三つのみである。 そのほかの道具や数学的対象としては、アデール環、ガロワ理論の各概念、楕円曲線、ディリクレの L-級数とモジュラー形式などが挙げられる。有限体などの合同算術にほぼ由来するいくつかの概念は20世紀においても広く用いられ、ときどき同様の手法をそのまま使うことはあるけれども、代数的整数論は合同算術の範囲を大きく超えた分野である。
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