ディリクレの単数定理とは? わかりやすく解説

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ディリクレの単数定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2020/07/25 06:32 UTC 版)

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数学において、ディリクレの単数定理(Dirichlet's unit theorem)は、ペーター・グスタフ・ディリクレ (Dirichlet 1846) による代数的整数論の基本的な結果である[1]。ディリクレの単数定理は、代数体 K代数的整数がなす

Qf(x) = x3 + x2 − 2x − 1 の根を添加することで得られる三次の円分体の単数群の、対数空間中の基本領域。基本単数の集合は {ε1ε2} である。ここでαf(x) の根を表すと、 ε1 = α2 + α − 1ε2 = 2 − α2 である。基本領域の面積はおよそ 0.910114 であるので、K の単数基準はおよそ 0.525455 である。
  • 虚二次体や有理整数体の単数基準は 1 である。(0×0 行列の行列式は 1 とする)
  • 実二次体の単数基準は、基本単数の log である。例えば、Q(√5) の単数基準は log((√5 + 1)/2) である。このことは次のようにして分かる。基本単数は (√5 + 1)/2 であり、R への 2つの埋め込みの像は (√5 + 1)/2(−√5 + 1)/2 であるので、r × (r + 1) 行列は、
である。
  • αx3 + x2 − 2x − 1 の根とすると、巡回三次体英語版 Q(α) の単数基準は、およそ 0.5255 となる。べき根を法とした単数群の基底は、{ε1ε2} である。ここに ε1 = α2 + α − 1 であり、ε2 = 2 − α2 である[5]

高次単数基準

高次単数基準とは、単数群に対する古典的な単数基準を、n > 1 における代数的K-群 Kn 上の函数として拡張したものである(古典的な単数基準は、群 K1 の場合に相当する)。この理論は発展途上であり、アルマン・ボレルらが研究している。このような単数基準は、例えばベイリンソン予想で利用され、整数引数のL-函数の評価時に現れると期待されている[6]

スターク単数基準

スターク予想の定式化により、ハロルド・スタークは、現在スターク単数基準(Stark regulator)と呼ばれているものを提唱した。これは古典的な単数基準の類似物として、任意のアルティン表現英語版に対応する単数の log の行列式としたものである[7][8]

p-進単数基準

K数体とし、K の各々の固定された有理素点上の素点 P に対して、局所単数を UP で表し、U1,PUP の中での主単数の部分群を表すとする。さらに、

と置き、E1 で大域的単数 ε の集合を表すとする。ここで εE の大域的単数の対角埋め込みを通して U1 へ写す。

E1 は大域的単数の有限指数部分群であるので、E1 は階数 r1 + r2 − 1アーベル群である。p-進単数基準(p-adic regulator)とは、この群の生成元の p-進対数で作られた行列の行列式である。レオポルドの予想英語版は、この行列式が 0 ではないと予想している[9][10]

脚注

  1. ^ Elstrodt 2007, §8.D.
  2. ^ 代数体 K から Q の代数体閉包 Q の中への同型写像のうち、像が R の中にあるもの
  3. ^ 虚埋め込みとは、同型写像の像が R にないものを指す。写像の像について複素共役をとったものも同様に同型写像となるため、この共役ペアを単位に数える。
  4. ^ Neukirch, Schmidt & Wingberg 2000, Proposition VIII.8.6.11.
  5. ^ Cohen 1993, p. 511, Table B.4.
  6. ^ Bloch, Spencer J. (2000). Higher regulators, algebraic K-theory, and zeta functions of elliptic curves. CRM Monograph Series. 11. Providence, RI: American Mathematical Society. ISBN 0-8218-2114-8. Zbl 0958.19001 
  7. ^ PDF
  8. ^ PDF Archived 2008年5月10日, at the Wayback Machine.
  9. ^ Neukirch et al. (2008) p. 626–627
  10. ^ Iwasawa, Kenkichi (1972). Lectures on p-adic L-functions. Annals of Mathematics Studies. 74. Princeton, NJ: Princeton University Press and University of Tokyo Press. pp. 36-42. ISBN 0-691-08112-3. Zbl 0236.12001 

参考文献

関連項目

  • 楕円単数英語版(Elliptic unit)
  • 円分単数英語版(Cyclotomic unit)
  • 新谷の単数定理英語版(Shintani's unit theorem)

ディリクレの単数定理

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/09 03:44 UTC 版)

代数的整数論」の記事における「ディリクレの単数定理」の解説

詳細は「ディリクレの単数定理」を参照 ディリクレの単数定理は整数環 O の単数のなす乗法群 O× の構造記述与える。具体的には、O× は G × Zr同型であるという定理で、ここで G は O のすべての1の冪根からなる有限巡回群であり、r = r1 + r2 − 1 である(ここで r1 と 2r2 はそれぞれ K の実埋め込み複素埋め込み個数である)。言い換えると、O× は有限生成アーベル群で、階数は r1 + r2 − 1 で、捩れ部分は O の1の冪根からなる

※この「ディリクレの単数定理」の解説は、「代数的整数論」の解説の一部です。
「ディリクレの単数定理」を含む「代数的整数論」の記事については、「代数的整数論」の概要を参照ください。

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