イデアル類群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/02/11 15:35 UTC 版)
![]() | この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。(2010年2月) |
イデアル類群(イデアルるいぐん、英: ideal class group)あるいは類群(るいぐん、英: class group)とは、イデアルの類(英: ideal class)と呼ばれる(分数)イデアルの同値類と、それらの間の積によって定まる群のことであり、主に整数論において用いられる。イデアル類群は数体からイデアルへの移行の際に起こる、群としての拡張の度合いを測るある種の指標となる[1]。
例えば、イデアル類群が自明 (⇔群の位数が1) であるとは全ての分数イデアルが単項イデアルであるということであり、これは数体の整数環が単項イデアル整域であることを意味する。他方、
イデアル類群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2018/05/09 03:44 UTC 版)
一意分解が不成立なことと主イデアルでない素イデアルが存在することは同値である。素イデアルが主イデアルからどのくらい離れているかを測る対象はイデアル類群と呼ばれる。イデアル類群を定義するには、群構造を持たせるために、整数環のイデアルの集合を大きくする必要がある。これはイデアルを分数イデアルに一般化することでなされる。分数イデアルは K の加法的部分群 J であって O の元の積で閉じている。すなわち x ∈ O のとき xJ ⊆ J となるもののことである。O のすべてのイデアルは分数イデアルでもある。I と J が分数イデアルであるとき、I の元と J の元の積全体の集合 IJ もまた分数イデアルである。この演算により零でない分数イデアルの集合は群となる。群の単位元はイデアル (1) = O であり、J の逆元は(一般)イデアル商 J−1 = (O : J) = { x ∈ K : xJ ⊆ O } である。 主分数イデアル、すなわち Ox, ただし x ∈ K×, の形のイデアルたちは、非零分数イデアルの群の部分群をなす。非零分数イデアルの群をこの部分群で割った商がイデアル類群である。2つの分数イデアル I と J がイデアル類群の同じ元を表すことと、ある元 x ∈ K が存在して xI = J となることは同値である。したがってイデアル類群は2つの分数イデアルを、一方が他方と主イデアルさが同じときに、同値にする。イデアル類群は一般に Cl K, Cl O, あるいは Pic O と書かれる(最後の表記はイデアル類群を代数幾何学のピカール群と同一視している)。 イデアル類群の元の個数は K の類数と呼ばれる。Q(√−5) の類数は 2 である。これは2つしかイデアル類がないことを示す。主分数イデアルの類と、(2, 1 + √−5) のような主でない分数イデアルの類である。 イデアル類群は因子のことばによる別の記述をもつ。数の可能な分解を表す形式的な対象がある。因子群 Div K は O の素イデアルたちによって生成される自由アーベル群と定義される。K の零でない元が乗法についてなす群 K× から Div K への群準同型がある。x ∈ K が次を満たすとする: ( x ) = p 1 e 1 ⋯ p t e t . {\displaystyle (x)={\mathfrak {p}}_{1}^{e_{1}}\cdots {\mathfrak {p}}_{t}^{e_{t}}.} div x = ∑ i = 1 t e i [ p i ] . {\displaystyle \operatorname {div} x=\sum _{i=1}^{t}e_{i}[{\mathfrak {p}}_{i}].} 1 → O × → K × → div Div K → Cl K → 1. {\displaystyle 1\to O^{\times }\to K^{\times }{\xrightarrow {\text{div}}}\operatorname {Div} K\to \operatorname {Cl} K\to 1.}
※この「イデアル類群」の解説は、「代数的整数論」の解説の一部です。
「イデアル類群」を含む「代数的整数論」の記事については、「代数的整数論」の概要を参照ください。
- イデアル類群のページへのリンク