イデアルの群
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 05:30 UTC 版)
整因子𝔪に対して𝔪と互いに素な分数イデアルのなす群I𝔪は𝔪を割り切る有限素点の集合だけによって決まる。特に𝔪に含まれる無限素点には依存しない。他方、P𝔪は有限素点の指数にも依存し、指数が大きくなれば小さくなっていく。無限素点の有無でも大きさは変わる。相互法則の意味するところの1つは「𝔪 に分岐する無限素点を付け加え、有限素点の指数を適当に大きくすれば、P𝔪はアルティン写像の核に入るぐらい小さくなる」という点である。 商群I𝔪/P𝔪のことを射類群(ray class group)と呼ぶことがある。𝔪 = (1)のときこれは通常のイデアル類群なので、これはイデアル類群の一般化になっている。𝔪がKの実素点すべての積であったとする。このときI𝔪はすべての分数イデアルからなる群であり、P𝔪は総正な元で生成される単項イデアル全体の群である。このI𝔪/P𝔪を狭義のイデアル類群または狭義類群(英語版)(narrow class group)という。 任意の整因子𝔪に対してI𝔪/P𝔪の位数は類数 h を用いて | I m / P m | = h φ ( m 0 ) 2 ρ e {\displaystyle |I_{\mathfrak {m}}/P_{\mathfrak {m}}|=h{\frac {\varphi ({\mathfrak {m}}_{0})2^{\rho }}{e}}} と表すことができる。ここでφ(𝔪0)はKの整数環の𝔪0による剰余類環の可逆元の個数、ρは𝔪を割り切る実素点の個数、eはKの単数群における𝔪を法として1に乗法合同な単数の成す群の指数である。特に、I𝔪/P𝔪は有限群である。 存在定理によって合同群に対してアーベル拡大Lが定まり、逆にアーベル拡大Lがあれば合同群H𝔪(L/K)が定まる。この対応を一対一にするためには合同群に対して適切な同値関係を定義する必要がある。これは次のように定義される。 𝔪を法とする合同群Hと𝔪′を法とする合同群H′が同値であるとは、𝔪と𝔪′の公倍数であるような𝔪′′が存在してI𝔪′′ → I𝔪/Hの核とI𝔪′′ → I𝔪′/H′の核が等しいことと定義する。この同値関係による合同群の同値類とアーベル拡大の対応は一対一になる。イデールによる定式化ではこの対応がより直接的に記述される。
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