定義と基本的な結果
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/18 00:25 UTC 版)
R を整域とし K をその分数体とする。R の 分数イデアルは K の 0 でない R-部分加群 I であって、0 でない r ∈ R が存在して rI ⊆ R となるようなものである。元 r は I の分母をはらっていると考えることができる。単項分数イデアル (principal fractional ideal) は K のただ一つの 0 でない元によって生成される K のそのような R-部分加群である。分数イデアル I が R に含まれるのはそれが R の('整')イデアルであるとき、かつそのときに限る。 分数イデアル I は次のようなとき可逆 (invertible) であると言う。別の分数イデアル J が存在して IJ = R (ただし IJ = {a1b1 + a2b2 + ⋯ + anbn : ai ∈ I, bi ∈ J, n ∈ Z>0} で、これは二つの分数イデアルの積 (product) と呼ばれる)。このとき、分数イデアル J は一意的に定まり、一般化であるイデアル商 に等しい: ( R : I ) = { x ∈ K : x I ⊆ R } . {\displaystyle (R:I)=\{x\in K:xI\subseteq R\}.} 可逆分数イデアルの集合は単位イデアル R 自身を単位元として上記の積に関してアーベル群をなす。この群は R の分数イデアルの群と呼ばれる。単項分数イデアルは部分群をなす。分数イデアルが可逆であるのはそれが R-加群として射影的であるとき、かつそのときに限る。 K のすべての有限生成 R-部分加群は分数イデアルであり、R がネーター環ならばこれらが R の分数イデアルのすべてである。
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