モーメント法(MoM)・境界要素法(BEM)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/09/18 02:06 UTC 版)
「電磁場解析」の記事における「モーメント法(MoM)・境界要素法(BEM)」の解説
モーメント法(method of moments; MoM)すなわち境界要素法(boundary element method; BEM)は、積分方程式 (「境界積分形」とも呼ばれる) として定式化された線形偏微分方程式を解く数値解析の手法である。境界要素法(BEM)は、流体力学、音響学、電磁気学、破壊力学、および可塑性解析など、工学と科学の多くの分野で適用できる。 1980年代以降、境界要素法(BEM)はますます一般的に用いられるようになっている。境界要素法(BEM)は、偏微分方程式で定義された空間の全ての値を計算するというよりは、むしろ境界値だけについて計算するため、体積に対する表面積の比が小さい場合は、メモリの量やCPU時間といったコンピュータ・リソースの問題においてかなり効率的である。概念的に、境界要素法(BEM)は、モデル化された表面上で「メッシュ」を構成し問題を解く。しかしながら、多くの問題において、境界要素法(BEM)は体積を離散化する手法 (有限要素法、有限差分法、有限体積法より、かなり非効率的となる。境界要素法による定式化は、通常、全てにデータの入った行列を生じさせる。これは、データ量と計算時間が、解析対象物の大きさの二乗に応じて増加する傾向があることを意味する。境界要素法(BEM)とは対照的に、有限要素行列は、(各要素は局所的に接続されるだけのため) 行列に必要なデータ量は 通常 解析対象物の大きさに比例して大きくなる。これらの (二乗で増えるデータ量の) 問題を改善するために、圧縮のテクニック(例えば、多重極展開(英語版)やアダプティブ・クロス近似 (Adaptive Cross Approximation; ACA) / 階層行列(英語版)(hierarchical matrices))を使用できる。ただし、圧縮を行う場合は、圧縮追加の複雑さによる労力と、解析する問題の性格や幾何学的形状に大きく影響される成功率を十分に検討する必要がある。 境界要素法(BEM)はグリーン関数によって計算できる問題に適用可能である。通常、グリーン関数で解く問題は、線型で均質である媒体の領域について扱う。これは境界要素を有効に適用できる問題の範囲と一般性に関して大幅な制限を与える。境界要素法(BEM)の定式化で、非線形の問題も扱うこともできる。この場合、一般的に体積の積分方程式を導くことになるが、問題を解こうとする前に体積を離散化する必要があり、境界要素法(BEM)で最もよく引用される(均一物質を境界だけで解くという)利点が無くなることになる。
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