表面積の比
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/01/08 14:42 UTC 版)
異種金属接触腐食の低減には、貴な金属の表面積を卑な金属の表面積よりも相対的に小さくすることが有効である。上記の式でいえば、分母の Aa/Ac を大きくすることに相当する。一方で、もし Aa/Ac を小さくすると卑な金属の異種金属接触腐食は極めて激しくなるので、注意を要する。例えば海水中で軟鋼は卑でステンレス鋼(316)は貴だが、これらに対して自然海水中・流速 1 m/s の環境で行った異種金属接触腐食の実験結果によると、軟鋼の表面積 (Aa) とステンレス鋼の表面積 (Ac) の比によって以下のように軟鋼の腐食速度が変わる。 Aa/Ac = 10 のとき、軟鋼の腐食速度は軟鋼単独状態とおよそ同じ Aa/Ac = 1 のとき、軟鋼の腐食速度は軟鋼単独状態のおよそ3倍 Aa/Ac = 0.1 のとき、軟鋼の腐食速度は軟鋼単独状態のおよそ7倍 Ac の低減には、貴な金属側へ塗装などの被覆処理を施してもよい。塗装をするときに注意すべきなのが、卑な金属側のみに被塗装をしないことである。塗装をしても環境と完全に絶縁することは難しく、実用中に塗装皮膜が欠損することもある。卑な金属側の塗装に欠損すると、Aa/Ac がとても小さい状態となって、その欠損部で異種金属接触腐食が急激に進むおそれがある。卑な金属に塗装する場合は、貴な金属も合わせて塗装するのが望ましい。
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