表面組成
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/15 09:04 UTC 版)
イオの色彩豊かな見た目は、その大規模な火山活動による輝石などの珪酸塩岩石、硫黄、二酸化硫黄などの物質の堆積の結果である。二酸化硫黄からなる霜はイオの表面に普遍的に存在しており、白や灰色で覆われた広大な領域を形成している。硫黄も同様にイオの大部分で見られ、黄色や黄緑色の領域を形成している。中緯度や極域に堆積した硫黄はしばしば放射線によって損傷され、通常は安定な八硫黄を破壊する。これによりイオの赤茶色の極域の模様が生成される。 爆発的な火山活動はしばしば傘状の噴煙を作り、表面を硫黄や珪酸塩を含む物質で彩る。イオ表面に堆積する噴煙は、噴煙中に存在する硫黄と二酸化硫黄の量に依存して赤や白を示す。一般的に、脱ガスする溶岩からの火口で形成される噴煙は大量の S2 を含んでおり、赤い扇状の堆積物を残す。あるいは極端な場合は、しばしば中央火口から 450 km にも達するような大きな赤いリングを形成する。赤いリングの噴煙堆積物の顕著な例はペレ火山に見られる。この赤い堆積物は主に三鎖と四鎖の硫黄分子、二酸化硫黄からなっており、あるいは塩化スルフリルも含んでいる可能性がある。珪酸塩岩石の溶岩流の縁に形成された噴煙は、溶岩と既存の硫黄・二酸化硫黄の堆積物との相互作用によって白か灰色の堆積物を生成する。 イオの組成の地図とイオが高い密度を持つという事実から、イオは微量の水しか含んでいないか、あるいは水を含まない組成であることが示唆される。ただし氷や含水鉱物の小さな穴は暫定的に発見されており、代表的なものはギシュ・バル火口の北西斜面に存在している。イオは太陽系の既知の天体の中では最も水の含有量が少ない天体である。この水の少なさは、木星は太陽系の形成と進化の初期段階ではイオ付近から揮発性物質を失わせるのに十分な高温であったが、さらに遠方まで失わせることは出来なかったことが原因であると考えられる。
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