破壊力学とは? わかりやすく解説

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破壊力学

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/07/12 09:05 UTC 版)

破壊力学(はかいりきがく、: fracture mechanics)は、材料力学をベースとしながらもそれでカバーできない分野に考え出された工学の一分野であり、欠陥もしくはき裂を有する部材・材料について、破壊現象を定量的に取り扱う工学的手法の一つである。き裂は曲率半径0の切り欠きであり、その部位の応力集中係数を従来の材料力学的手法で取り扱うと無限大となる困難が生じていた。これに対する回答をグリフィスやアーウィンらがみいだし、この分野が確立した。 破壊力学では、欠陥・き裂部位の形状・応力ひずみの状態などを単純なパラメータに落としこみ、比較的容易に取り扱うことが出来る。材料力学を常用することで解決する分野でなく破壊問題が深刻な最先端領域で多用される。

破壊力学のパラメータ

物体の形状や、欠陥・き裂の形態・寸法、荷重条件が異なっていても、材料・パラメータの値が同一であれば、ある部位で破壊現象がおきたばあいに、別の部位でも同様の破壊現象が起きると予測できる。 破壊力学のパラメータは、目的や適用範囲に応じて複数提案されている。

線形弾性の破壊力学

グリフィス理論

破壊力学は第一次世界大戦中にイギリスの航空エンジニアアラン・アーノルド・グリフィス英語版が、ガラスセラミックスなどの脆性材料の破損を説明するために発展させた[1]。グリフィスの仕事は次の2つの矛盾した事実に動機づけられたものだった:

  • バルクのガラスを破壊するために必要な応力は約100 MPaである。
  • 原子間の結合を切るために理論上必要な応力は約10,000 MPaである。

これらの競合する観測結果の帳尻を合わせる理論が求められていたのである。 また、グリフィス自身が行なったガラス繊維の実験から、破壊するために必要な応力は繊維の直径が減少するほど大きくなることが示唆された。

グリフィスの登場以前は、一軸引張強度が広範囲に材料の破壊を予測するために使われていたが、これは試料に依存しない材料特性としては使えなかった。 グリフィスは、実験で観測された理論上の予測値より低い破壊強度と大きさに依存した破壊強度は、バルク材料のミクロスケールのき裂によるものだと提案した。

このき裂によるという仮説を検証するため、グリフィスは実験用ガラス試料に人工的なき裂を入れた。 この人工的なき裂は、試料表面の他のき裂に比べて非常に大きいものとした。 彼の実験によると、き裂の長さ

延性材料のき裂突端周辺の塑性領域。

グリフィスの仕事は1950年代前半まで航空エンジニアのコミュニティから全く相手にされなかった。その理由は、(a)実際の構造材料で破壊が起こるのに必要なエネルギーの規模は、発生した表面エネルギーよりも何オーダーの規模も大きいということと、(b)構造材料のき裂先端周辺で常にある程度起こっている非弾性変形がき裂先端で無限の応力を伴う線形弾性材料の仮定を極めて非現実的なものにしていること、であるようだ。 [2]

グリフィスの理論はガラスのような脆性材料の実験データと良い一致をもたらした。 のような延性材料については、

出典は列挙するだけでなく、脚注などを用いてどの記述の情報源であるかを明記してください。 記事の信頼性向上にご協力をお願いいたします。2024年3月
  • 小林英男『破壊力学』(初版)共立出版、1993年4月。ISBN 4-320-08100-5 

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