メソアメリカ文化
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/26 02:47 UTC 版)
先コロンブス期のメソアメリカ文化における宇宙論では、世界樹は重要なモチーフとなっている。マヤ文明のパレンケ遺跡にある十字架の神殿は、マヤ遺跡の中でも世界樹が建築の参考とされたものとして特に研究が進んでいる遺跡である。世界樹は四方位で具現化され、さらに中心に四重世界の中央世界樹が存在しており、これが地下世界の平原と地上世界、天界を結ぶ世界軸となっている。各方角や中央に世界樹を置く図像は、マヤ文明、アステカ、イサパ、ミシュテカ、オルメカなど数々のメソアメリカ文化圏で、少なくとも編年中の形成期中期・後期以降に共通して登場するイメージである。マヤ文明において、チラン・バラムによれば世界樹はセイバの木に比定されている。また木の幹は立ちあがったカイマン(ワニ)の棘だらけの胴で表されることもある。また各方角の木はメソアメリカ暦内の4つのイヤーベアラー、方角色、神々と関連している。ドレスデン絵文書、ボルジア絵文書、フェイェールヴァーリ・マイヤー絵文書といったコデックスにも、こうしたシステムの概説が載っている。実際にメソアメリカの遺跡や儀式の中心では四方に木が植えられていたと考えられている。 世界樹は、その枝に鳥をのせ、根が地面もしくは水中へ延びる形で描かれていることが多い。また地下世界のシンボルである水の怪物の上に描かれることもある。また中央の世界樹は天の川を描いたものであるという解釈もされている。イサパ第5石碑にも、世界樹の描写がみられる。 アメリカ大陸土着の文化の多くに共通して「指向性」をもったテーマがみられるが、垂直方向の指向性を示すものとして世界樹がたびたび登場する。ただし、それが何の木であるかまでは統一されておらず、その文化圏のおかれた自然環境によってさまざまである。温帯ではトウヒ属の樹木に比定されることが多く、それ以外ではセイバの木を取り上げる地域もある。いずれにせよ、世界樹が宇宙論的な各方角の地を結び付けているという概念はおおむね一致している。
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