マスコミの論調
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/04/07 06:18 UTC 版)
「1891年3月14日のリンチ事件」の記事における「マスコミの論調」の解説
多くの新聞社の論調は虐殺を引き起こした者に大いに同情的であり、反イタリア人感情に支配されていた。犠牲者をマフィアと結び付け、リンチを受けたのはその報いだというものであった。ニューヨーク・タイムズ紙の見出しは「ヘネシー署長の復讐 イタリア人の殺人犯射殺される」であり、シシリア人を中傷する論調であった。 シシリア人はこそこそした臆病者である。彼らは盗賊と暗殺者の子孫であり、シシリアから不法精神と殺人の風習、秘密結社をこの国に持ち込んだ。これらは我々にとっては広がり続ける伝染病である。ニューオーリンズの民衆が起こしたリンチ事件は問題を解決するための唯一の方法であった。 多くのマスコミは犠牲者を非難して虐殺を引き起こした者を擁護し、その後形式的に自警行為を非難した。一例としてマサチューセッツ州選出の下院議員であるヘンリー・カボット・ロッジは暴徒の行動を遺憾としつつ、イタリアからやって来る移民に新たな制限を設けることの正当性を主張した。ロンドンタイムス紙もこの意見に賛同した。 しかし全てのマスコミが暴徒の行動を正当化したわけではない。チャールストンニュース&クーリエ紙は「自警行為といえども暴力はどのような理由があっても許されない」と述べ、セントルイス・リパブリック紙は「殺害された犠牲者はイタリア人という理由で些細なことでも疑いをかけられた」と記した。 一部のアメリカ北部の新聞は虐殺行為を厳しく非難したが、一方で多くの新聞は虐殺行為を陰に陽に擁護した。ボストン・グローブ紙は見出しに「短剣による支配:ニューオーリンズの市民は降りかかる呪いに立ち上がった」と記した。 リンチ事件の発生後、新聞社は根拠のない噂(数千人のイタリア系アメリカ人がニューオーリンズの攻撃を計画していた、ニューヨークやシカゴの鉄道を破壊しようとした)を広め 、ヘネシー暗殺事件の容疑者の弁護士がマフィアに雇われていたと報道した(実際はアメリカ中のイタリア語新聞社が容疑者の弁護費用基金を立ち上げていた)。 イタリア政府とイタリア系アメリカ人のコミュニティーが強硬に抗議すると、マスコミの虐殺行為を擁護するこれらの論調は減少していった。
※この「マスコミの論調」の解説は、「1891年3月14日のリンチ事件」の解説の一部です。
「マスコミの論調」を含む「1891年3月14日のリンチ事件」の記事については、「1891年3月14日のリンチ事件」の概要を参照ください。
- マスコミの論調のページへのリンク