マイケル・デル
マイケル・デルとは、世界的に有名なパソコンメーカーであるデル(Dell, Inc.)の創業者にして、現会長である。1965年2月23日、米国テキサス州ハウストン生まれ。
デルは当初、外科医を志してテキサス大学に入学した。しかし大学在学中の1984年、学生寮の自室で「PC's Limited」という名の会社を興した。デルは当時19歳、設立資本金は1000ドルであった。
マイケル・デルは自らのビジネスを始める際にいくつかの基本的なアイデアに従った。例えば、未完成品だけを在庫として抱えること、実質的には何も部品を在庫として持たないこと、顧客から注文があったときだけパソコンを製造すること、そして、完成したパソコンを顧客に直販すること、などといったものである。これが後に、既存の中間業者を仲介することのない完全受注生産の直販システムという(当時の業界では先例のない)ビジネスモデルとして、華々しい成功を収めることになる。

マイケル・デルがテキサス大学を中途退学し、ビジネスに専念するようになると、会社はいよいよ軌道に乗り始めた。1987年には、社名を「デル・コンピュータ」(Dell Computer Corporation)と改めた。2003年には「デル株式会社」(Dell,Inc)へと変更している。デル株式会社は世界で最も収益性の高いパソコンメーカーとなり、2002年には3兆5000億円以上を売上げ、2000億円以上の純利益を上げている。マイケル・デル自身もまた、2005年にはForbes 400にも選出されてアメリカの長者番付で9位、世界の長者番付では18位にランクインしている(純資産はおよそ1兆6千億円以上ともいわれる)。
2004年の3月、マイケル・デルはデル社CEOの座を降りて会長となった。新たなCEOには、それまでCOOを務めていたケルビン・ロリンスが就任している。マイケル・デルは現在、同社会長職のほか、世界経営フォーラム(World Economic Forum)や米国大統領の科学技術に関する諮問機関のメンバーとして活動している。ちなみに、デルはテキサス州のオースティンで、妻のスーザンと四人の子供たちに囲まれて暮らしている。
参照リンク
Dell.com
マイケル・デル
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/06/19 08:38 UTC 版)
マイケル・デル
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マイケル・デル(2010年)
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生誕 | 1965年2月23日(60歳)![]() |
教育 | テキサス大学オースティン校中退 |
職業 | デル・テクノロジーズ創設者兼会長兼最高経営責任者 |
純資産 | ![]() |
宗教 | ユダヤ教 |
配偶者 | スーザン・デル |
子供 | 4人 |
マイケル・ソール・デル(英語: Michael Saul Dell, 1965年2月23日 - )は、アメリカ合衆国の実業家。デル・テクノロジーズの創設者にして会長兼最高経営責任者。
経歴
若年期
テキサス州ヒューストンに住む、裕福なユダヤ人の家庭で生まれ育つ。父は、歯科矯正医。苗字は本来タール(Thal;「谷」)で、デルとはそれを英語化した苗字である[2]。株式仲買人である母の影響で、早くから商才を発揮したデルは、12歳の頃に流行していた切手収集に着目し、切手のカタログを作成して雑誌に広告を出し、2,000ドルを稼いでいる[3]。16歳の頃には、新聞の新規購読勧誘のアルバイトで新婚家庭や転居者に的を絞ったアプローチを行い、18,000ドルを稼いだ[3]。
やがてコンピュータに興味を持ちだし、15歳の頃に買ってもらったApple IIを好奇心から分解する[3]。店頭に売られているコンピュータを分解し、強化されたコンポーネントで組み立ててアップグレードしては友人に販売していた[3]デルは、やがてこれが大きなビジネスチャンスになると確信する。
しかし両親は医学部への進学を望み、1983年にテキサス大学オースティン校に入学する。在学中も、コンピュータをアップグレードして金を稼いだ。
起業
1984年、19歳の頃に、わずか1,000ドルの資金を元手に学生寮の自室でコンピュータ会社「PC's Limited」を起業。同年に大学を中退し、本格的な会社の経営に乗り出す。
「販売店やディーラーを介さず、注文生産の製品を直接顧客に販売する」というコンピュータ業界初の直販制度を採用したことで会社は急成長を遂げ、1988年には24歳で NASDAQ に株式公開を果たした[4]。同年に社名を「デル・コンピュータ」と改める。1992年に会社はフォーチュン500入りを果たし、デルはフォーチュン500社中最も若い最高経営責任者になった[5]。2003年には製品ラインを拡大し社名を「デル」に改名[6]。
2004年7月には最高経営責任者職をそれまで最高執行責任者を務めていたケビン・ロリンズに譲った[7]。2007年2月、ロリンズの辞任に伴い、最高経営責任者職に復帰している[8]。
2013年2月には、企業買収ファンドと一緒にデルを自ら買収(レバレッジド・バイアウト)することを発表している[9]。
その他の活動

1998年にベンチャーキャピタル MSD Capital を設立[5]。1999年には、妻スーザンと共にマイケル&スーザン・デル基金を開設し[5]、2006年5月に、母校テキサス大学オースティン校に5,000万ドルの寄付を行った[10]。
デルは、世界経済フォーラムのFoundation Board、International Business Councilの実行委員、U.S. Business Councilのメンバー、インド商科大学院の理事会のメンバーでもある。米大統領の科学技術に関する諮問委員会の委員も務めた[5]。
受賞歴
- 1989年 - Inc. 誌 "Entrepreneur of the Year"
- 1992年 - PC Magazine 誌 "Man of the Year"
- 1993年 - Financial World 誌 "CEO of the Year"
- 1996年-1999年 - BusinessWeek 誌 "The Top 25 Managers of the Year"
- 1998年 - Industry Week 誌 "CEO of the Year"
- 2001年 - Chief Executive 誌 "Chief Executive of the Year"
- 2002年 - BusinessWeek 誌 "The Best Managers of the Year"
- 2013年 - バウアー賞ビジネスリーダーシップ部門
著書
- Michael Dell, Catherine Fredman, Direct from Dell : Strategies That Revolutionized an Industry, HarperCollins, 2000, ISBN 0-88730-915-1
- 國領二郎(監訳)、吉川明希(訳) 『デルの革命 「ダイレクト」戦略で産業を変える』 日本経済新聞社、2000年、ISBN 4-532-19011-8
脚注
- ^ “#37 Michael Dell” (英語). The World's Billionaires. フォーブス (2010年3月10日). 2010年4月20日閲覧。
- ^ Lone stars of David: the Jews of Texas, By Hollace Ava Weiner, Kenneth Roseman, page 257, UPNE, 2007
- ^ a b c d “Michael Dell: Information from Answers.com” (英語). Answers.com. 2007年2月13日閲覧。
- ^ “Dell Inc. 会社概要”. デル. 2007年2月13日閲覧。
- ^ a b c d “経営陣紹介”. デル. 2007年7月14日閲覧。
- ^ “今度はただの「デル」 -米デルコンピュータが社名変更”. CNET Japan (2003年7月22日). 2007年2月13日閲覧。
- ^ “米Dell,新CEOに現COOの Kevin Rollins氏を任命,Dell氏は会長職を続投”. ITpro (2004年3月5日). 2007年2月13日閲覧。
- ^ Yamashita, Yoichi (2007年2月1日). “Dell、CEOに創業者のマイケル・デル氏が復帰”. マイコミジャーナル. 2007年2月13日閲覧。
- ^ “米デル株式非公開化で合意、買収額は約244億ドル”. ロイター (ロイター). (2013年2月6日) 2013年2月10日閲覧。
- ^ Warden, Michael L. (2006年5月15日). “Michael & Susan Dell Foundation Grants $50 Million to University of Texas to Bring Excellence in Children's Health and Education to Austin” (英語). The University of Texas System - Press Releases. 2007年2月13日閲覧。
外部リンク
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固有名詞の分類
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