ペットボトルのキャップ回収

ペットボトルの分別回収を実施する自治体が増えてきました。その成果もあり、2006年度の国内の使用済みペットボトル回収率は、PETボトルリサイクル推進協議会の調査によると前年度比4・6ポイント増の66・3%となっています。これは欧州の36・8%、米国の23・5%と比べて非常に高く、日本は世界最高水準のペットボトル回収率を誇っています。
ペットボトルはリサイクルしやすくするために、分別収集の際には「キャップを必ず外して下さい」と協力を求められることがほとんどですが、ペットボトルに加え、キャップまで分別回収しているケースはまだ多くありません。ペットボトルのキャップは回収に手間がかかり、リサイクル業者への売却価格も約400個で10円と安価なため、自治体としても大規模なリサイクル網を構築しづらいのが現状です。とはいえ、ペットボトルキャップも重要なリサイクル資源。これまで焼却処分していた量を減らすだけでも二酸化炭素(CO2)排出量を削減する効果があります。
そこで、ペットボトルのキャップを回収して環境保全活動などに役立てようとする取り組みも活発化してきました。エコキャップ推進協会(横浜市)は、企業や学校などから収集したペットボトルのキャップを再資源化業者に売却し、その売却益を途上国向けのワクチン購入資金として専門の団体に寄付する取り組みを実施しています。同協会によれば、ポリオワクチンは一人分20円で購入できるそうで、それはペットボトルのキャップ数にすれば約800個で一人分ということになります。同協会では活動への協力や賛同を広く呼びかけ、これまでに1000万個以上のペットボトルキャップを回収しています。
独自にキャップ回収に乗り出した企業もあります。リコーテクノシステムズ(東京都台東区)はITサービス事業のサービス網を活用し、自社の事業所で発生するキャップのほか、要望があれば顧客からもキャップを回収します。同社はIT機器の保守サービスがメーン事業で、全国約430カ所の事業所に5000人のカスタマーエンジニア(CE)がいます。1日平均6件の顧客を訪問するCEが業務終了後にキャップを事業所に持ち帰り、IT機器の交換部品などを運ぶ定期便トラックの復路を利用してキャップを保管場所に集めていきます。最終的にはリサイクル業者に売却し、その売却益を森林整備や地域清掃など同社が支社単位で実施している環境保全活動の費用の一部に充てます。キャップ回収に協力してくれた顧客にはそれらの活動への参加も呼びかけていくそうです。
キャップ回収のために新しい専用トラック便などを手配すれば、それだけでCO2が新規に発生することになります。同社の取り組みはIT機器の部品を全国に配送する定期便トラックなど既存のサービス網を活用したため、環境負荷を高めずに手軽にキャップのリサイクル活動が実施できるとしています。
(掲載日:2008/01/16)
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