ピトー管が関連する事故・故障
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/08 22:56 UTC 版)
「ピトー管」の記事における「ピトー管が関連する事故・故障」の解説
実例バージェン航空301便墜落事故1996年2月6日、バージェン航空のボーイング757型機301便が、離陸直後、機長側の速度計が機能せず、正常だった副操縦士側の速度計も故障していると誤認し、速度超過を避けようとスロットルを絞って失速し墜落。25日間の駐機期間にピトー管カバーを付け忘れていたため、ピトー管にハチが入り込んで巣を作ったものと考えられている。 アエロペルー603便墜落事故1996年10月2日、アエロペルーのボーイング757型機603便が、離陸直後、高度計及び速度計が機能しない旨を管制官に通告し、リマに引き返した。しかし、夜間の海上飛行だった為に目測の目印がなく、超低空飛行状態で主翼を海面に接触させ墜落、乗員乗客全員が死亡した。原因は、出発前に機体を洗浄する際にピトー管の静圧孔を保護するために貼ったマスキングテープを、作業完了後に剥がすことを忘れて離陸したためであった。 アウストラル航空2553便墜落事故1997年10月10日、アウストラル航空のDC-9がウルグアイ川沿いの沼地に墜落した。ピトー管が氷結し速度計の数字が落ち始めたため、パイロットは推力を増大させた後にスラットを展開した。スラットにより翼の気流が乱れ機体はコントロールを失い時速1200kmで墜落、搭乗していた74人全員が死亡した。 チャイナエアラインが佐賀空港の滑走路をオーバーラン2007年(平成19年)10月にチャイナエアラインのボーイング737型機が佐賀空港の滑走路をオーバーランして離陸した後、計器異常により引き返すトラブルが発生した。原因は、ピトー管の管内に虫が入り込んでいたためであった。このようなトラブルを防ぐために、航空機は地上駐泊する際にはピトー管の先端にはカバーを掛ける事になっているが、トラブルの発生した当該機は予定では当日中に折り返しのフライトを行うプランであったためにカバーを用意しておらず、カバーを掛けないまま駐泊していたのが原因であった。 エールフランス447便墜落事故2009年6月1日、エールフランスのエアバスA330型機が大西洋上に墜落した。原因はピトー管が凍結し速度計が動かなくなった際、失速警報が鳴っているにもかかわらず、経験の浅い副操縦士が操縦桿を機首上げ方向に引いたことであった。機体は制御不能のまま海面に叩きつけられ、乗員乗客全員が死亡した。 フィクション映画『ハッピーフライト』鳥がピトー管にひっかかり(バードストライク)、破損する事故が起こり、その後、出発地の羽田に引き返した。
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