ピトー管の検査と実験
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/08/22 09:50 UTC 版)
「フェデックス87便オーバーラン事故」の記事における「ピトー管の検査と実験」の解説
対気速度と飛行高度はピトー管によって測定された外気の気圧を基に計算されていた。MD-11には3本のピトー管が装備されており、それぞれ機長席側の計器、副操縦士席側の計器、予備計器用のデータを測定していた。また、ピトー管には排水口が2箇所開けられていた。副操縦士席側のピトー管の排水口を検査した結果、2つある内の1つが透明な結晶性粒子で塞がっていたことが判明した。また、ピトー管の先端部も白色の結晶性粒子や虫の死骸などで塞がっていた。機長席側のピトー管の排水口は両方ともそれぞれ白色と茶色の残留物によって塞がっており、先端部も副操縦士席側と同じ粒子などによって閉塞されていた。FAAの監督下でハネウェルとボーイングが実験を行った。実験ではピトー管内に一定量の水が入れられた。その結果、測定されるデータに誤差が生じ、対気速度が実際よりも12ノット (22 km/h)遅い速度が表示されることが判明した。これは、87便で初めに生じた誤差と一致していた。さらに実験が行われ、降下から着陸までの間に誤差がどの程度生じるのかが試験された。その結果、以下のデータが得られた。 高度実際の速度測定された速度誤差37,000フィート (11,000 m) 270ノット (500 km/h) 257.5ノット (476.9 km/h) −12.5ノット (−23.2 km/h) 35,000フィート (11,000 m) 270ノット (500 km/h) 250.1ノット (463.2 km/h) −19.9ノット (−36.9 km/h) 33,000フィート (10,000 m) 270ノット (500 km/h) 243.7ノット (451.3 km/h) −26.6ノット (−49.3 km/h) 30,000フィート (9,100 m) 270ノット (500 km/h) 243.7ノット (451.3 km/h) −26.6ノット (−49.3 km/h) 25,000フィート (7,600 m) 270ノット (500 km/h) 244.3ノット (452.4 km/h) −25.7ノット (−47.6 km/h) 25,000フィート (7,600 m) 240ノット (440 km/h) 217.3ノット (402.4 km/h) −22.7ノット (−42.0 km/h) 20,000フィート (6,100 m) 240ノット (440 km/h) 210ノット (390 km/h) −30ノット (−56 km/h) 10,000フィート (3,000 m) 240ノット (440 km/h) 210.3ノット (389.5 km/h) −29.7ノット (−55.0 km/h) 10,000フィート (3,000 m) 170ノット (310 km/h) 137.6ノット (254.8 km/h) −32.4ノット (−60.0 km/h) 0フィート (0 m) 170ノット (310 km/h) 124.9ノット (231.3 km/h) −45.1ノット (−83.5 km/h) その後の調査で、事故機で対気速度に異常が見られるという報告が以前から多々あったことが判明した。フェデックスは様々な処置をしていたが、問題の根本であった排水口の検査は行っていなかった。
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