ビジネス方法特許の特許性の判断基準
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/02/10 20:15 UTC 版)
「ビジネスモデル特許」の記事における「ビジネス方法特許の特許性の判断基準」の解説
発明が特許になるかどうかの判断(特許性の判断)は、特許法に基づいて行われる。特許法においては、特にビジネス方法特許のために設けられた規定はないが、コンピュータ・ソフトウエアが利用されるようになる以前から、ビジネス方法に関して発明の成立性等を論点とした裁判例や特許庁における審決が蓄積されている。また、特許庁では、審査における特許性の判断基準を明確にするために、特許・実用新案審査基準を作成しているが、発明の成立性等の基準については、上記の裁判例等を踏まえたものとなっている。 たとえば、発明の成立性の例については、審決取消請求事件(平成17年(行ケ)第10698号 平成18年09月26日)知的財産高等裁判所において、『本願発明の「ポイント管理方法」として,コンピュータを使ったものが想定されるものの,ソフトウエアがコンピュータに読み込まれることにより,ソフトウエアとハードウエア資源とが協働した具体的手段によって,使用目的に応じた情報の演算又は加工を実現することにより,使用目的に応じた特有の情報処理装置の動作方法を把握し得るだけの記載はない』として、審査基準に照らしても、自然法則を利用した技術的思想の創作であるとは認められないと判断された。 また、一般会計の貸借対照表に関する実用新案権侵害差止等請求事件(平成14年(ワ)第5502号)東京地方裁判所平成15年1月20日判決においては、『上記本件考案は,専ら,一定の経済法則ないし会計法則を利用した人間の精神活動そのものを対象とする創作であり,自然法則を利用した創作ということはできない』として、本質的な考案の特徴部分に自然法則に基づく技術的な構成が含まれていないから、実用新案権は成立せず、差止請求の権利行使を認めないと判断された。 同様の例として、特許3023658号(婚礼引き出物の贈呈方法)は、平成13年4月18日に特許庁審判部において取消決定がなされ、同6月11日に権利が消滅している。 2000年には、「特定技術分野の審査基準」として「コンピュータ・ソフトウエア関連発明」についての審査基準が加えられた。今日問題となっているビジネス方法特許は、ビジネス方法をコンピュータ・ソフトウエアによってシステム化した発明に関するものであるから、その審査は、通常の審査基準とこの「コンピュータ・ソフトウエア関連発明」についての基準に則って行われると考えてよい。この基準では、取引の形態や、商取引の方法など、ビジネスの手法のみに主眼が置かれ、コンピュータ・ソフトウエアなどの技術的な部分に特徴がないものは、発明の要件を満たさないとされている。基準の詳細については、ソフトウェア特許参照。
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