自然法則を利用した技術的思想(しぜんほうそくをりようしたぎじゅつてきしそう)
”自然法則を利用した技術的思想”とは、そのアイディアが自然法則を利用したものであるか否かをいう。
特許法は、保護対象である「発明」を、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものと定義している(第2条)。したがって、たとえ斬新なアイディアであっても、自然法則を利用しないものは「発明」でないとして特許の対象とならない。
たとえば、経済法則だけを利用した投資運用技術やゲームのルールそのものについては、それがいくら画期的であっても特許の対象とならない。つまり、自然法則を利用しないものは、特許法の保護対象である「発明」に該当しない(発明該当性がない)。
これに対し、エンジンに対するガソリンの供給量をマイクロコンピュータにより制御する方法は、自然法則を利用した技術といえるので、「エンジンに対するガソリン供給量の制御方法」「ガソリン供給量の制御装置」などとして特許を受けることが可能である(もちろん、いままでにない斬新な方法でなければならない)。
では、投資運用の方法やゲームをコンピュータによって実現した場合はどうであろうか。投資運用の方法やゲームのルールそのものは自然法則を利用していないが、これをコンピュータを用いて実現する場合、自然法則を利用したということができる。したがって、投資信託等のビジネスモデルやゲームソフトウエアに関するアイディアも「発明」であるとして、特許を受けることができる。
詳細は、ビジネスモデル特許の基礎を参照のこと。
(執筆:弁理士 古谷栄男)
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