パイプライン化と並列化の萌芽
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2021/12/25 15:12 UTC 版)
「スーパーコンピュータ技術史」の記事における「パイプライン化と並列化の萌芽」の解説
高性能化は大きく分けて2通りの方向から進められた。ひとつはパイプライン化、もうひとつは並列化である。 最初のパイプライン化コンピュータは「ストレッチ」ことIBM 7030とされている。7030は4ステージのパイプラインによりフェッチ・デコード・実行を並列におこなった。 後述するパイプライン処理による高性能を誇ったベクトル型スーパーコンピュータにつながる、最初のスーパーコンピュータはCDC 6600だとされている。6600は、演算処理に特化し高速に動作する中央プロセッサと、その他の遅い処理をおこなう10個の周辺プロセッサ(正確にはレジスタ群などが10個分ある「バレル」と、処理を実行する1個の「スロット」から成る。バレルプロセッサの記事も参照)という構成により、上手にプログラミングすればコンピュータの全ての部分を常に働かせ続けることができる、という機械であった。また6600ではScoreboardingによるアウト・オブ・オーダー実行も行われている。 一方の並列化への挑戦として、イリノイ大学でのコンピュータ製作プロジェクトは注目に値する。この当時は、コンピュータを作ること自体が稀であった中、当時のベル研究所の計算機の能力の合計を上回る性能の真空管コンピュータILLIAC Iを1952年に完成させた。 IILIAC I の後継機として設計されたILLIAC II(1962年運用開始)は、トランジスタを用いた最初期のコンピュータのひとつであった。ILLIAC IIでは、計算ユニットを並列化して処理速度を向上させるパイプラインがはじめて導入され、ILLIAC IIIでは、画像処理を目的としたSIMDアーキテクチャが採用された。 ILLIAC IVは、プロジェクトとしてはうまくいかなかったとされるが、SIMD型の並列コンピュータの最初期のものと評価されている。 この時代のコンピュータでは、IBM System/360のモデル91も、メインフレームとしては高性能であったという他に、こんにちにつながる多くの先駆的な技法を開拓している。特にTomasuloのアルゴリズムによるアウト・オブ・オーダー実行が特記される。
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