バシュラン・モンドール
秋から春の間にだけ作られる季節限定のチーズ。その解禁を待ちわびるファンは、最近日本でも増える一方で、チーズ好きの間では冬の風物詩となっています。
バシュラン・モンドールの故郷は、ジュラ山脈モンドール(黄金の山)一帯。バシュランといえばフランス産が有名ですが、少ないながらスイスでも作られているんです。この地域はちょうどフランスとスイスの国境にあたり、山のどちら側で作るかによって、原産国が分かれるわけです。どちらが「元祖」かについては、フランスが先だ、いやスイスだと、今でも論争があるほど。
①使用するミルク:
フランス産の無殺菌乳に対して、スイス産は殺菌乳を使用。殺菌乳といっても、ミルクの風味を損なわない低温殺菌なので、おいしさはそのままです。
②メーカーの規模:
フランスでは大規模工場で作られますが、スイスでは今でも小さな工房で作られています。最後の大事な工程ともいえる、仕上げの熟成はたった8軒が請け負い、さらにこのうちの3軒は地元消費分を作っています。そんなわけで、圧倒的に製造量の少ないスイス産が日本に入荷するのは、まだまだわずかです。
③見た目と味わい:
表面を塩水で洗いながら熟成されますが、この洗う回数がスイス産はフランス産と比べて多いため、風味がしっかりとして濃厚です。表面がしっとりと濡れているようにみえ、オレンジ色が濃いのもこのためです。
バシュラン・モンドールの特徴は、そのやわらかな生地と独特の香り。モミの木の一種、エピセアの樹皮を巻き、エピセアの棚でじっくりと熟成させるので、木の香りがチーズにしみこんでいます。口いっぱいに広がる爽やかな香りは、まるでアルプスの森に立っているよう。できたてはビロードのような厚めの表皮に覆われていて、中は切り分けられるくらいのもっちりとした生地です。食べごろになったチーズは、とろりと流れるほど柔らかく、クリーミーでおだやかな味わいです。木箱のままテーブルに出し、中身をスプーンですくっていただきます。
秋から冬の間しか味わえない、とっておきのチーズ。チーズこだわり派の方へのプレゼントやパーティにもピッタリです。
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