ハイデッガーの存在論的差異との関係とは? わかりやすく解説

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ハイデッガーの存在論的差異との関係

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/03/29 08:20 UTC 版)

差延」の記事における「ハイデッガーの存在論的差異との関係」の解説

ものが存在するという出来事ハイデッガーは、存在する対象として語りうるものとは、どうあっても異なるものである考え、この違い存在論的差異(Ontologische Differenz)と呼んだ。 この還元できない根源的な違いにこだわる限り、「ものが存在するということはそのものこれこれこういう性質である」という形式の説明一切できない性質属性は、「これこれ性質存在する」という形で語りうる対象だからである。存在することは、ものの属性ではない。また「ものが存在するということは、より基本的な何かの在り方モード振る舞いである」という形の説明解決ならない。その基本的な何かは依然として存在する何かなので、その存在がやはり問題として残るからである。 ハイデッガーは、従来哲学このように存在する何かでもって存在するということ説明してきたとみなし、この存在論的差異忘却によって、存在するということの意味把握し損ねてきたと考えたハイデッガーに依れば、何かが「存在するということは、現に「いまここ」というものが不断に存在するということとの係わりでしか理解できない。そして、この、「いまここが現に不断に存在する」という出来事は、近似的にいえば、現象の場としての<私>の存在のことであり、これを現存在と呼ぶ。 この現存在概念は、認識論的フッサール超越論的主観性概念存在論的に作り変えたものと見ていい。フッサール生ける現在(=現前 present)はここでは現存在として捉えなおされる。存在者(存在する主体対象)に存在存在するという出来事)が不在なものとして必然的に介在するということは、現在に決して現在にはならない現前しない)過去(の、あるいは、としての痕跡がその前提為して介在しているという事態と類比的な事態のである。 このとき、ハイデッガー存在論的差異は、思惟や行為の対象からなるものの総体外部がつねに存在するということを示すという方法的意義持っているあらゆるものが思惟や行為の対象になりうるが、そのような思惟や行為の対象は、決して、その思惟や行為の対象そういうものとして成り立たせているものとは同一ではない。 デリダは、この存在するものに不在という形で(すなわち対象化から不可避的に逃れる剰余として)取り憑く存在するという出来事を、それ自体としては決し現れないが、そういうもの(まったき他者)として存在するものに係わっているものとして、一種痕跡とみなす。存在は、それ自体として存在者の世界思惟や行為の対象世界)に出現しない。現れてしまったら、それはもはや存在者だからである。 われわれが主題的に思惟する対象にできるのは存在者だけである。あるいは、対象として思惟したとき、それはもはや存在者としてわれわれの前に現れている。即ち、存在する何かとして語りうるものになっている存在という概念によって存在するという出来事主題化対象として思惟することは確かにできるが、そのとき存在するという出来事特性を、この存在という概念、すなわち存在意味する存在者を見つめることによっては把握できないそういう意味で、存在は、存在者の世界には不在である。しかし、存在者は、存在することによってはじめ存在者なのだから、そこには存在が、やはり或る形で介在している。不在であるがそこにある形で介在しているという意味で、やはりそれを痕跡として規定することができる。 デリダは、この差異存在するものとその存在との間のずれから、より一般的にあらゆる同一者が前提として経なければならない内的な差異化運動 différance引き出す。存在論的差異は、それが存在という形式によって限定され現れた姿として捉え直される。 しかし存在論的差異存在現存在から或る意味派生するものであり、現存在先立たれている。それに対してdifférance は、存在現存在先立っており、それよりも年老いて」いる。différance何らかの存在存在者や主体作用ではなくそのような主体」などの、主語になりうるようなものを成立させ、そのようなものに先立つ

※この「ハイデッガーの存在論的差異との関係」の解説は、「差延」の解説の一部です。
「ハイデッガーの存在論的差異との関係」を含む「差延」の記事については、「差延」の概要を参照ください。

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