ハイデッガーの呼びかけ 存在の問題こそ最も重要であるとは? わかりやすく解説

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ハイデッガーの呼びかけ 存在の問題こそ最も重要である

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/30 04:07 UTC 版)

なぜ何もないのではなく、何かがあるのか」の記事における「ハイデッガーの呼びかけ 存在の問題こそ最も重要である」の解説

詳細は「存在問い」および「実存主義」を参照 この問題有名にすることに大きく寄与したのは20世紀ドイツの哲学マルティン・ハイデッガー1889年 - 1976年)である。ハイデッガーはこの問いを、哲学における最も根源的な問い第一問いであるとして、その重要性着目し探求行った。以下、1953年出版されハイデッガー講義録形而上学入門」の第一章冒頭文である。 なぜ一体、存在者があるのか、そして、むしろ無があるのではないのか?これがその問いである。この問い決しありきたり問いでないということは推察できる。「なぜ一体、存在者があるのか、そして、むしろ無があるのではないのか?」‐これは明らかにすべての問いの中で第一問いである。 第一問いといっても、もちろんいろいろな問い時間的継起順番から言って第一だというのではない。個々人諸民族長い間歴史の流れ途上多く事柄を問うものである。彼らは「なぜ一体、存在者があるのか、そして、むしろ無があるのではないのか?」という問いにつきあたるまでに、様々な事柄探索し追及し吟味する。つきあたるということが、この疑問文言い表された文として聞くとか読むとかいうことだけでなく、この問いを問うこと、すなわちこの問い成立させ、これを提出し、どうしてもこの問いを問わざるをえないような状態になるということ意味するだとすれば多く人々は、この問いにつきあたらない。だがしかもなお!誰でも一度は、いやおそらくときどき、そうとはっきり知らないうちにこの問い隠れた力にそっと触られるのである。たとえば深い絶望中にあって、ものごとからすべての重み消えうせようとし、あらゆる意味がぼやけてしまうとき、この問い立ち現れる。おそらくそれは鈍い鐘の音のように、ただ一度撞き鳴らされ現存在の中へと響き入り次第にまた響きやむだけかもしれない心から歓呼中にもこの問いがある。というのは、この場合すべてのものごと変わってしまい、あたかもそれがいまはじめてわれわれの周囲あるかのごとくになり、われわれはそれがあり、しかもそれが現にあるとおりにあると考えるよりも、むしろそれがないのだと考えるほうがかえって考えすいよう気がするからである。或る種の退屈の中にもこの問いがある。この場合、われわれは絶望からも歓呼からも等しく遠ざかっているが、いつまでたっても何の変哲もなく、存在者がいつものごとく、まるで砂漠のようにのさばっていて、われわれは存在者があろうとなかろうどうでもいような気持ちになるからであってそういう場合には特別の形で再びこの問い響き始める。なぜ一体、存在者があるのか、そして、むしろ無があるのではないのか?と。 — マルティン・ハイデッガー 『形而上学入門』(1935年講義/1953年に出版) 第1章形而上学根本問い」、川原栄峰ハイデッガーはこの問い全生涯をかけて関わったが、いかなる解答提案しなかった。そもそもどのようにしたら答えることができるのかを示すための努力を行うこともなかった。これはハイデッガーがこの問いを「意味の問い」として捉えていたことによる。つまりハイデッガーは「なぜ存在しているか」という問いについて、その根拠となる事実実証主義的客観主義的に答えようとするものではなくその意味、つまり「存在の意味」を答えるべき問い捉えていたためである。このことはハイデッガー的に言えば、この問いは「存在的」に答えられるべきものではなく存在論的」に答えられるべきもの、ということになる。この両者の差をハイデッガー存在論的差異呼んでいた。そして彼は後期思想において、この問いへの普通の意味での解答不可であるけれども、この根本的な謎と向き合うことが大切とした。そしてそうした態度はもはや命題的にあらわされる何かではなく、むしろ詩に近いものとして表されるものであり、初期ギリシャ哲学者断片にその理想求められるとした。

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