ネットワークアドレス指定とルーティング
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/02/25 14:44 UTC 版)
「サブネット」の記事における「ネットワークアドレス指定とルーティング」の解説
インターネットなどのIPネットワークに参加しているコンピュータは、少なくとも1つのIPアドレスを持っている。通常、このアドレスは各デバイスに固有のもので、ネットワークサーバによってDHCPを使用して自動的に、あるいは管理者によって手動で、またはステートレスアドレス自動構成によって自動的に構成できる。 アドレスは、ホストを識別し、ネットワーク上でそれを見つけるという機能を果たす。最も一般的なネットワークアドレッシングアーキテクチャはInternet Protocol version 4(IPv4)であるが、その後継であるIPv6も2006年頃から普及してきている。IPv4アドレスは32ビットで構成されるが、読みやすさのために1オクテット(8ビット)ごとに区切ってそれぞれを10進数表記し、ドットで区切る表記が行われる。これをドット数値記法(英語版)という。IPv6アドレスは128ビットで構成されるが、16ビットごとに区切って16進数表記し(これをヘクステット(英語版)という)、コロンで区切る表記が行われる。IPアドレスは、ネットワークプレフィックスとホスト識別子の2つの論理部分に分けられる。サブネット上の全てのホストは、同じネットワークプレフィックスを持つ。このプリフィックスはアドレスの上位のビットである。ネットワーク内でプレフィックスに割り当てられるビット数は、ネットワークアーキテクチャによってはサブネット間で異なる場合がある。ホスト識別子は固有のローカル識別子であり、ローカルネットワーク上のホスト番号またはインターフェース識別子のいずれかである。 このアドレス構造により、発信元と宛先のネットワークプレフィックスが異なる場合は、ルータと呼ばれる特別なゲートウェイコンピュータを介して、複数のネットワークにまたがるIPパケットを宛先ホストに選択的にルーティングできる。発信元と宛先のネットワークプレフィックスが同じである場合は、宛先ホストに直接送信することができる。ルータはサブネット間の論理的または物理的な境界を構成し、それらの間のトラフィックを管理する。各サブネットは、指定されたデフォルトルータによって処理されるが 、内部的にネットワークスイッチによって相互接続された複数のイーサネットセグメントで構成されている場合がある。 アドレスのルーティングプレフィックスは、IPアドレスに使用されるのと同じ形式で記述されたサブネットマスクによって識別される。例えば、IPv4アドレスの最上位24ビットで構成されるルーティングプレフィックスのサブネットマスクは255.255.255.0となる。ネットワークプレフィックスの仕様の最新の標準形式は、IPv4とIPv6の両方に使用されるCIDR表記である。アドレスの後にスラッシュ(/)とプレフィックスのビット数を表記する。IPv6では、これがネットワークプリフィックスやルーティングプレフィックスを表すための唯一の形式である。 例えば、サブネットマスクが255.255.255.0のIPv4ネットワーク192.0.2.0は192.0.2.0/24と表記され、IPv6表記2001:db8::/32はアドレス2001:db8::とそのネットワークプレフィックスが上位32ビットであることを表す。 IPv4において、CIDRが導入される前のクラスフルネットワーク(英語版)では、ネットワークプレフィックスはその上位ビットの範囲によってクラスA、B、Cが決定され、そこからサブネットマスクが決定された。CIDRの導入以来、ネットワークインターフェースへのIPアドレスの割り当てには、アドレスとサブネットマスクという2つのパラメータを必要となる。 IPv4送信元アドレスと、それに関連付けられたサブネットマスク、および宛先アドレスが与えられると、ルータは宛先がオンリンク(on-link)かオフリンク(off-link)かを判断できる。宛先のサブネットマスクは必要ではなく、一般にルータには知らされない。しかし、IPv6の場合は、オンリンクの決定方法が異なり、近隣探索プロトコル(NDP)を必要とする。ネットワークインタフェースへのIPv6アドレス割り当ては、オンリンクプレフィックスの一致の要件を持たず、逆もまたそうである(リンクローカルアドレスを除く)。 ローカルに接続された各サブネットは、接続された各ルータのルーティングテーブル内の個別のエントリで表される必要があるため、サブネット化によってルーティングが複雑になる。ただし、ネットワークを慎重に設計することで、ツリー階層のブランチ内にあるより遠いサブネットの集合へのルートをスーパーネットに集約し、単一のルートで表すことができる。
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