ドルビーSタイプ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/03 03:09 UTC 版)
「ドルビーノイズリダクションシステム」の記事における「ドルビーSタイプ」の解説
1990年に登場。業務用のドルビーSRタイプノイズリダクションシステム(上記参照)を基に、民生機用に設計し直した規格。日本では1991年9月に発売されたアイワ(初代法人)のXK-S9000、およびXK-S7000が民生用初のドルビーS搭載カセットデッキとなる。 低音域でもノイズリダクション効果があり、原理的にパンピング(動的副作用)が発生しない。Bタイプと聴感的な互換性があり、Sタイプで録音したテープがBタイプでもさほど違和感なく再生ができる(事実上の簡易再生)というメリットがある。勿論、Sタイプで録音したテープは、Sタイプを備えたテープレコーダーで高忠実再生が可能となる。 しかし、既にプロ用、および民生用のDATというCDの音質を凌駕するデジタル録再機が市場に登場から数年後、新機種の投入に伴う開発・生産等によるコストダウン・量産化からもたらされた低価格化によって普及し始めた時に投入された点はともかく、程なくMDやDCCなどといった新しい圧縮系コーデック(前者がATRAC、後者がPASCと呼ばれる各種コーデック)の民生用デジタル録再機が台頭し始めたことや、最初期のドルビーS基板は回路構成が複雑で高価だった(その後1チップ化され回路構成のコストダウンや搭載機種の低価格化が急速に進んだ)ことから、搭載製品はかつてのB・Cタイプほどの普及までには至らず、短命に終わり、2001年末までにドルビーSを搭載したカセットデッキは全て生産終了し、2002年末までに流通在庫品が全て販売終了となった。 日本の音響機器メーカーでドルビーSタイプを搭載した機種を開発、および発売した音響メーカーは先述のアイワのほか、パイオニア(ホームAV機器事業部。現・オンキヨーホームエンターテイメント)、ティアック、ソニー、ケンウッド(現・JVCケンウッド)、ヤマハの計6社に留まっており、また、この当時DCC(デジタルコンパクトカセット)に参入していた松下電器産業(現・パナソニック)や日本ビクター(現・JVCケンウッド)、日本マランツ(現・ディーアンドエムホールディングス)のほか、ソニーが規格した次世代デジタル録音フォーマットのMD(ミニディスク)に参入していたオンキヨー、この当時三菱電機と共同でA&Dブランドを展開していた(1991年を以って新規開発終了、1993年末までにブランド終了)赤井電機(現・AKAI professional)、主に高級クラス中心のカセットデッキを製造していたナカミチなどの日本の音響機器メーカーはドルビーSタイプを搭載した機種は1機種も投入されなかった。
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