チョッパ制御車の開発遅れ
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/19 03:51 UTC 版)
「国鉄103系電車」の記事における「チョッパ制御車の開発遅れ」の解説
チョッパ制御電力節減比較山手京浜東北中央力行時の節減 4.4 % 3.0 % 0.6 % 回生時の節減 22.9 % 23.4 % 21.3 % 営団地下鉄が1965年(昭和40年)に銀座線の2000形を使用して国内初のチョッパ試験を行い結果的に6000系電車として量産を開始した。国鉄でも1967年(昭和42年)3月に101系電車を改造して力行チョッパ試験を行ったのち1969年(昭和44年)11月には装置を一新し回生ブレーキも含めたテストを行った。しかし、回生ブレーキの結果に難があり、翌1970年(昭和45年)11月にも現車試験を行ったが、回生ブレーキ時の界磁電流制御が今後の課題とされた。力行制御としては既に合格の域に達していたが、抵抗を低い速度で抜ける103系電車との比較では、重い装置を積んでチョッパ制御を力行だけで使うメリットがなく、回生ブレーキとの組み合わせが求められた。電機子チョッパ制御による回生ブレーキは発生電圧を抑える必要があったが、103系で用いているMT55は定格速度が低く、高い速度からの発電ブレーキでは発生電圧が高くなった。これらを改善するため、1972年(昭和47年)に直並列チョッパ装置を開発し、工場での試験では高速からの回生ブレーキに対して有効であることが確認された。しかし、当時の労使関係から、1974年(昭和49年)6月まで現車試験は行われなかった。 国鉄の場合、標準化の観点もあり、同一システムを近郊形などにも波及させる困難さが付きまとい、地下鉄のようにブレーキ初速度が低い場所や誘導障害の範囲が限定される状態では導入できる技術も、多くの路線で使うことになる国鉄車での採用には、様々な問題点をクリアしていかねばならなかった。特に標準品との兼ね合いで設計が制約されることがあり、直並列チョッパのような余計な開発時間が必要になる要因を作っていたのも事実である。1975年(昭和50年)頃からは回生ブレーキの特殊性が理解され、チョッパ制御に適した主電動機の設計が認められることになり、チョッパ制御と対になるMT60主電動機の開発と、それを用いた回生システムなどが詰められていく。チョッパ制御の201系試作車が登場したのは1979年(昭和54年)1月であった。右表は電機子チョッパ制御車と103系の消費電力を試算したときの比率で、103系を100とした場合の節減率だが駅間の長い中央線では電機子チョッパ制御のメリットが他線に比べ少ないことがわかる。なお、回生失効は考慮していない。
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