ジゴクノカマノフタとは? わかりやすく解説

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じごく‐の‐かまのふた〔ヂゴク‐〕【地獄の釜の蓋】

読み方:じごくのかまのふた

キランソウの別名。


キランソウ

キランソウ
科名 シソ科
別名: ジゴクノカマノフタ
生薬名: キンコツソウ筋骨草
漢字表記 金瘡小草
原産 日本本州中国四国
用途 野原耕地普通に見られる多年草民間薬として、全煎じて解熱解毒下痢止め・せき・健胃などに用います
学名: Ajuga decumbens Thunb.
   

地獄釜蓋

読み方:ジゴクノカマノフタ(jigokunokamanofuta)

キランソウ別称
シソ科多年草薬用植物

学名 Ajuga decumbens


キランソウ

(ジゴクノカマノフタ から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/11/13 07:08 UTC 版)

キランソウ
Ajuga decumbens
東京都町田市、2006年4月29日)
分類APG III
: 植物界 Plantae
階級なし : 被子植物 Angiosperms
階級なし : 真正双子葉類 Eudicots
階級なし : コア真正双子葉類 Core eudicots
階級なし : キク類 Asterids
階級なし : 真正キク類I Euasterids I
: シソ目 Lamiales
: シソ科 Lamiaceae
亜科 : キランソウ亜科 Ajugoideae
: キランソウ属 Ajuga
: キランソウ A. decumbens
学名
Ajuga decumbens
Thunb.[1]
和名
キランソウ(金瘡小草)、ジゴクノカマノフタ
品種
  • シロバナキランソウ A. d. f. albiflora
  • ウズキランソウ A. d. f. condensata
  • モモイロキランソウ A. d. f. purpurea

キランソウ(金瘡小草[2]学名: Ajuga decumbens)は、シソ科キランソウ属多年草道端などに生える雑草。別名、ジゴクノカマノフタともよばれる。

名称

和名キランソウの由来は諸説あり、はっきりしない。一説には、ランに似た紫色の花を意味する「紫蘭草(しらんそう)」が転訛したものとする説[3]。また、「キ」は紫の古語、「ラン」は藍色を意味するところから、花色から紫藍色に由来するという説[4]。茎を地面に伸ばして群生する様から、織物の金襴にみたてて「金襴草」と名付けたとする説[4]などがある。

別名で、ジゴクノカマノフタ(地獄の釜の蓋)という呼び名もあるが、これは根生葉が地面に張り付くように放射状に広がる様が、地獄の釜の蓋(ふた)に見立てられたもので[5][4]、さまざまな病気に対して薬草としての効能から医者がいらず、「これで地獄に落ちないで済む」[6]という意味や、「病気を治して地獄にふたをする」[7]という意味が由来だといわれている。また、医者が必要ないというところから、イシャゴロシ(医者殺し)の異名もある[4]

地方により、イシャイラズ(医者いらず)[8]、イシャナカシ(医者泣かし:愛媛県)、オドゲソウ(鹿児島県)、チチグサ(愛媛県、鹿児島県)、チリメンソウ(三重県)などの方言名でも呼ばれている[6]

漢名(中国名)では、金瘡小草という[4][9]。金瘡とは刀傷のことで、キランソウの葉を潰して傷に塗ると、切り傷や腫れ物に効用があることから名付けられたものである[4]

仲春を表す季語にもなっている[6]花言葉は、「あなたを待っています」「追憶の日々」「健康をあなたに」である[4]

分布・生育環境

原産は日本在来とされ[6]、日本の本州四国九州や、朝鮮半島中国に分布する[9]

草地土手[8]丘陵地など[6]、特に背丈の低いところに生え、山里、道ばた公園、などでよく見られる[10][3]。日当たりが良く、排水が良い土地を好む性質で[8]石垣の間やその下の地面に這うように広がっている[11]

形態・生態

一年中見られる多年生の草本[11]、全体に縮れた粗いが多い[8][3]。草丈は、2 - 20センチメートル (cm) で[6][3]は直立せず四方に分枝して、草全体がロゼット状に地表に這って円盤状の形になる[8]。ランナー(匍匐茎)のような花茎を出し地表を這うが、節から根を出さない[3]。シソ科では珍しく、茎の断面が丸い[9]

葉は対生し、基部のものでは長さ4 - 6 cm 、幅1 - 2 cmで、披針形から倒披針形で、先端側が幅広く、基部は次第に狭くなる[8]。また葉の縁には波状の粗い鋸歯がある[9]。表面は深緑でつやがあり、裏面は通常紫色を帯びる[8][11]。株元の葉は放射状に地面についている[8]

花期は春から初夏(3 - 5月)、茎の先端近くの葉の付け根に濃紫色の小花を数個つける[8][3]。花は、径5 - 10ミリメートル (mm) の唇形花[12][11]、上下二つに分かれた上唇は下唇よりもごく小さい[9]。下唇は平らに大きく発達して3裂して大きく広がり[11]、特に中央の裂片が長くつきだし、先端は切れたようにまっすぐで、中央が切れ込んだようになって浅く2裂する。上唇の花弁は2つに裂けている[11]。日当たりのよい場所では、冬期に開花することがある[13]は深く5裂して毛がある[11]

果実分果で、長さ1.5 mmほどの球形で[11]、一つの花の宿存萼の中で4個に分かれていて、脱落しやすい[8][10]。分果は緑褐色をした倒卵形で丸みがあり、表面ははっきり目立つ凸凹した網目模様がつき、腹面には大きめの楕円形をした着点(へそ)がつく[10]。種子で増えるほか、株が分かれて繁殖する[8]

利用

開花期の全草を乾燥したものは、筋骨草(きんこつそう)とよばれる生薬である。漢方では使われない[8]高血圧鎮咳、去淡、解熱、健胃下痢止め切り傷などに効果があるとされるが、民間薬的なものである[6][8]。4月頃に全草を採取して、水洗い後に天日乾燥して調製される[11]。 薬効は収斂作用があり、花期に全草を採取して茎葉についている土砂を洗い落とし、天日乾燥させたものを使うか、生でも使用される[8]。高血圧、解熱、下痢止めには、乾燥品1日量5 - 7グラムを水300 で半量になるまでとろ火で煎じるか、1日量15グラムを500 ccの水で煎した汁を、1日3回分服する用法が知られている[8][11]。苦味が強い[11]ウルシかぶれには、煎液を塗る[11]

また、火傷切り傷、毒虫の刺傷英語版あせもなどに、生葉汁を直接つける用法が知られている[8]。腫れ物、打撲には、火であぶって柔らかくなった葉や茎を、紙に広げて張り付ける[11]

近縁種

脚注

  1. ^ 米倉浩司; 梶田忠 (2003- エラー: 日付が正しく記入されていません。(説明). “「BG Plants 和名−学名インデックス」(YList)”. 2012年4月30日閲覧。
  2. ^ 金瘡小草」『精選版 日本国語大辞典小学館https://kotobank.jp/word/%E9%87%91%E7%98%A1%E5%B0%8F%E8%8D%89#w-1939116コトバンクより2025年11月13日閲覧 
  3. ^ a b c d e f g 大嶋敏昭 2005, p. 111.
  4. ^ a b c d e f g h 稲垣栄洋 2018, p. 129.
  5. ^ 野に咲く花』、171頁。 
  6. ^ a b c d e f g 稲垣栄洋監修 主婦の友社編 2016, p. 29.
  7. ^ 残しておきたいふるさとの野草』、98頁。 
  8. ^ a b c d e f g h i j k l m n o p 馬場篤 1996, p. 44.
  9. ^ a b c d e f 近田文弘監修 亀田龍吉・有沢重雄著 2010, p. 72.
  10. ^ a b c 鈴木庸夫・高橋冬・安延尚文 2018, p. 73.
  11. ^ a b c d e f g h i j k l m 川原勝征 2015, p. 116.
  12. ^ 主婦と生活社編 2007, p. 28.
  13. ^ 大嶋敏昭監修 2002, p. 140.

参考文献

関連項目

外部リンク



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