サザン‐ロック【southern rock】
サザン・ロック[soutern rock]
サザン・ロック
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2025/08/04 08:47 UTC 版)
サザンロック Southern Rock |
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様式的起源 | ロック、ブルース、ブギー |
文化的起源 | 1970年代![]() |
使用楽器 | ギター、ベース、ドラム、ボーカル、鍵盤楽器など |
融合ジャンル | |
ブルー・アイド・ソウル | |
関連項目 | |
ハードロック |
サザン・ロック(英: Southern Rock)とはブギー(ブギウギ)、ブルース、R&Bやカントリーなど、アメリカ南部のルーツ・ミュージックの影響を受けたロックのジャンルである。サザンロック・バンドの場合、メンバーの多くが旧アメリカ南部連邦11州出身の傾向がある。
歴史
1960年代末から1970年代初頭には、ジョン・フォガティ[1]率いるCCRやレオン・ラッセル、デラニー&ボニーらが登場したが、彼らはサザン・ロックとは別に「スワンプ・ロック」と呼ばれる場合がある。[2]
オールマン・ブラザーズ・バンドは60年代末にブルース・ロック・バンドとしてスタートした。その後、彼らのサウンドはカントリー・ロックへの変化が見られる。1972年の『イート・ア・ピーチ』の「ブルー・スカイ」は、サザンロックへの架け橋と見なすことができた。これはドウェイン・オールマン存命時代に録音された1曲だった。しかし1971年10月下旬に、ギタリストのドウェイン・オールマンが交通事故で亡くなってしまう。さらにその1年後の72年11月には、ベース担当のベリー・オークリーもバイク事故で死亡する悲運に見舞われた[3][4]。サザンロックの全盛期は、1973年にオールマンブラザーズバンドの『ブラザーズ・アンド・シスターズ』アルバムがリリースされ、大ヒット曲「ランブリンマン」や「ジェシカ」などのサザンロックの代表曲がリリースされたことから始まった。二人の死後、ディッキー・ベッツがバンドの方向性を決め、カントリー・ロック寄りに変わった。
70年代に人気を博したグループは、オールマン・ブラザーズ・バンド[注 1]の他に、レーナード・スキナード[注 2]、AOR寄りのスタイルを持つアトランタ・リズム・セクション[5]がいた。
マーシャル・タッカー・バンドは、フルート、サックスをフィーチャーし、さらに、カントリー・ロックの要素を含んだ音楽性で知られ、1977年に「ハード・イット・イン・ア・ラブ・ソング」をヒットさせた。。
サザンロックがブームだった時代に登場したバンドは、ウェット・ウィリー、ZZトップ[6]らだった[7]。彼らの音楽はブギーやブルースロックと、間奏のリード・ギターを強調したサウンドに、アウトロー・カントリーのような、南部の労働者階級の若者の価値観、希望を反映した歌詞をのせたスタイルが持ち味だった。
ブラックフットは、ハードなサウンドを前面に押し出し、1979年に「ハイウェイ・ソング」のヒットを放った。
1980年代にはアウトローズ、38スペシャル、ジョージア・サテライツ、ファビュラス・サンダーバーズらがヒットを出した[8]。
代表的なミュージシャン
1960年代(黎明期)
- サー・ダグラス・クインテット[注 3] Sir Douglas Quintet(テキサス州)
- ボックス・トップス(テネシー州出身)
- トニー・ジョー・ホワイト[注 4] Tony Joe White(ルイジアナ州)
- デイル・ホーキンス[注 5] Dale Hawkins(ルイジアナ州)
1970年代、80年代
ジョージア州出身
- オールマン・ブラザーズ・バンド[注 6] The Allman Brothers Band
- デュエイン・オールマン[注 7] Duane Allman
- アトランタ・リズム・セクション[注 8] The Atlanta Rhythm Section (AOR寄りのスタイル)
- グラインダー・スウィッチ Grinderswitch
- ジョージア・サテライツ The Georgia Satellites (80年代後半に登場、ロックンロール色が非常に強い)
- シー・レヴェル Sea Level
フロリダ州出身
- レーナード・スキナード Lynyrd Skynyrd
- ジ・アウトロウズ The Outlaws (ハードなカントリー・ロックを得意とした)
- モリー・ハチェット Molly Hatchet (豪快なトリプル・リード・ギターが特長)
- ブラックフット Blackfoot (ハード・ロック色の強いサウンドを持つ)
- ザ・ロッシントン-コリンズ・バンド The Rossington-Collins Band
- 38スペシャル 38 Special (80年代にポップでキャッチーなヒット曲を出した)
アラバマ州出身
- ウェット・ウィリー Wet Willie
- アラバマ Alabama (カントリ・シーンで人気)
アーカンソー州出身
- ブラック・オーク・アーカンソー BlackOak Arkansas (トミー・アルドリッジが在籍していた)
テキサス州出身
- ジョニー・ウィンター
- エドガー・ウィンター・グループ Edgar Winter Group
- スティーヴィー・レイ・ヴォーン
- ファビュラス・サンダーバーズ
- ブラッドロック Bloodrock
- ZZトップ ZZ Top
- ポイント・ブランク Point Blank
テネシー州出身
- ベアフット・ジェリー Barefoot Jerry
- マーシャル・タッカー・バンド
ミシシッピー州出身
- パイレーツ・オブ・ミシシッピ
- ノース・ミシシッピ・オール・スターズ
ルイジアナ州出身
- ルルー LeRoux
- チャーリー・ダニエルズ・バンド Charlie Daniels Band(カントリー色が濃い)
1990年代 〜 現在
- デイヴ・マシューズ・バンド(ヴァージニア州)
- デレク・トラックス・バンド Derek Trucks Band
- テデスキ・トラックス・バンド Tedeschi Trucks Band
- ブラック・クロウズ The Black Crowes
- ジョニー・ヴァン・ザント・バンド
- ブラックベリー・スモーク Blackberry Smoke
- ガヴァメント・ミュール Gov't Mule
- サニー・ランドレス(ルイジアナ州)
- ケニー・ウェイン・シェパード(ルイジアナ州)
- フーティー・アンド・ザ・ブロウフィッシュ (サウス・カロライナ州)
プログレ/ジャズ・ロック
- ワイドスプレッド・パニック Widespread Panic
- ディキシー・ドレッグス Dixie Dregs
南部音楽に影響を受けたミュージシャン
南部11州出身ではないが、南部の音楽に強い影響を受けている。
- クリーデンス・クリアウォーター・リバイバル Creedence Clearwater Revival(CCR。カリフォルニア州)
- ジョン・フォガティ
- ジョージ・サラグッド&ザ・デストロイヤーズ
- ローリング・ストーンズ
- エルヴィン・ビショップ
- レオン・ラッセル
- デラニー&ボニー
- オザーク・マウンテン・デアデビルズ(ミズーリ州)
- フォガット (イギリスのバンド。アメリカでも人気を得た)
- ジョー・コッカー
- エリック・クラプトン
- ケンタッキー・ヘッドハンターズ (カントリー・バンド。サザン・ロック色が濃い)
- ザ・バンド The Band(メンバー5人の内4人は、カナダ出身)
- ソーシャル・ディストーション (カリフォルニア州。パンク・ロック・バンドだが、ブルース、カントリー・ミュージックの要素を含んだアルバムをリリースした事がある)
関連項目
脚注
注釈
出典
- ^ ジョン・フォガティ 2023年1月30日閲覧
- ^ “What Is Swamp Rock? A look at this Southern mix of country, funk, and soul”. 2025年8月4日閲覧。
- ^ “Duane Allman Boulevard – Macon Music Trail” (英語). Macon Music Trail. 2021年12月2日閲覧。
- ^ “Raymond Berry Oakley III Bridge – Macon Music Trail” (英語). Macon Music Trail. 2021年12月2日閲覧。
- ^ http://www.atlantarhythmsection.com/
- ^ 代表曲には「タッシュ」「ラ・グランジェ」「チューブスネイク・ブギー」などがある
- ^ “The 'Lynyrd Skynyrd' Crash”. Check-Six.com (2007年5月). 2023年1月30日閲覧。
- ^ ジョージア・サテライツは「キープ・ユア・ハンズ・トゥ・ユアセルフ」を発表した
洋書
- Kemp, Mark. Dixie Lullaby: A Story of Music, Race and New Beginnings in a New South, New York, New York: Free Press/Simon & Schuster, 2004, p. 17; ISBN 0-7432-3794-3.
外部リンク
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