ゴールデンライスと遺伝子組換え食品反対運動
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/04/15 16:18 UTC 版)
「遺伝子組み換え作物」の記事における「ゴールデンライスと遺伝子組換え食品反対運動」の解説
ビタミンA欠乏症を解消することは世界保健機構(WHO)や国際連合児童基金(UNICEF)においても主要目標である(A Strategy for Acceleration of Progress in CombatingVitamin A Deficiency)。WHOによると、推定2億 5千万人の未就学児がビタミンA欠乏症であり、ビタミンA欠乏地域では多数の妊婦もビタミンA欠乏症である。そして、推定25万人から50万人の子供たちが毎年、ビタミンA欠乏症で失明し、その半数が一年以内に死亡している。そのような子供たちは南アジアや東南アジアの都市部のスラムに住む貧困家庭に多い。ビタミンA欠乏症を解消するために、主食であるコメにビタミンAの前駆体であるβ-カロテンを含むようにしてビタミンA欠乏症を緩和しようと育種されたものがゴールデンライスである。 このゴールデンライスに対しても反対する遺伝子組換え食品反対派はいる。前述のヴァンダナ・シヴァの主張は、 ビタミン含有率が高い遺伝子組み換えのゴールデンライスの開発に対して、イギリスのビタミン不足の子どもたちのために開発しているのになぜ反対かと、ヴァンダナ・シヴァさんが責められた。答えは、「そんなものはいらない。リンゴひとつ食べればビタミンは補えるもの」。バランス良く食べれば、そんなものはつくる必要がないし、ほんとうに栄養不足の子どもたちの役にたつわけでもない。そして、ゴールデンライスみたいな画一的な圃場(ほじょう)をつくるためになぎ倒された、たくさんの薬草でビタミンを補給していたインドの子どもたちが、年間4000人失明していると反論していました。 と紹介されている。この主張に対しては、リンゴはビタミンAの供給源としては不適切であるという栄養学的な反論と、貧困家庭の人々がバランスが良い食事がとれないためにビタミンA欠乏症に陥っているという@media screen{.mw-parser-output .fix-domain{border-bottom:dashed 1px}}現実を無視しているという反論[要出典]がなりたつ。 また、ヴァンダナ・シヴァの主張の中には、色素米や茶米には多量のビタミンA前駆体が含まれているのでゴールデンライスを開発する必要がないというものがある。しかし、玄米には極僅かのβ-カロテンが含まれるために痕跡量のレチノール当量のビタミンA活性があるがビタミンAの供給源としては不適切であり、精米された白米にはないといって良い。赤米の色素はタンニン系であり、黒米の色素はアントシアニン系である。つまり、ビタミンAに変換されるカロテノイド系の色素ではないため、赤米や黒米はたとえ玄米であったとしてもビタミンAの供給源にはならない。 この様なゴールデンライスに対する反対に対して、ゴールデンライスの開発者(Ingo Potrykusら)や推進派の中には、人道に反すると反発する考えもある。また、ゴールデンライス導入の遅れに伴うビタミンA欠乏症に関係する健康被害にゴールデンライスの反対派は責任をとるべきである、という意見もある。
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