コモンウェルスの長とは? わかりやすく解説

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コモンウェルス首長

(コモンウェルスの長 から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/08/05 05:59 UTC 版)

イギリス連邦
コモンウェルス首長
Head of the Commonwealth
現職者
チャールズ3世

就任日 2022年9月8日
イギリス連邦
所在地 マールバラハウス (ロンドン)
任命 加盟国政府の長
任期 終身制
初代就任 ジョージ6世
創設 1949年4月28日 (74年前) (1949-04-28)
ウェブサイト thecommonwealth.org

コモンウェルス首長(コモンウェルスしゅちょう、英語: Head of the Commonwealth)、英連邦首長[1](えいれんぽうしゅちょう)は、イギリス連邦の象徴的なトップである。1949年の創設以来、イギリスの君主がこの役職に就任している。

歴史

イギリスはかつて七つの海を支配すると言われていた植民地帝国(イギリス帝国)を形成していたが、1840年カナダドミニオン英語版自治領)となって以降その意味合いは変質しつつあった。1901年オーストラリア1907年ニュージーランド1910年南アフリカ1921年アイルランドが自治を獲得した[2]

1926年にはバルフォア報告書により、ドミニオン諸国は「王冠に対する共通の忠誠において結合され、ザ・ブリティッシュ・コモンウェルス・オブ・ネーションズ(The British Commonwealth of Nations:イギリス連邦)のメンバーとして自由に連合」した、平等で従属しない存在であると定義された[3]1931年ウェストミンスター憲章によってこの方針は正式なものとなり、各ドミニオンでも採択された[3]

1947年インドがドミニオンとして認可され(インド連邦)、翌年にはセイロンスリランカ)がこれにつづいた。インド制憲議会英語版共和制を採択する一方で、イギリス連邦への残留を望んだため、イギリスの君主に忠誠を誓うというイギリス連邦の枠組みは大きく見直されることとなった。1949年コモンウェルス首相会議により、イギリスの君主は「独立構成国の自由な連合の象徴およびそのようなものとして」コモンウェルス首長とされることとなった[4]。これにより、連邦加盟国はイギリスの君主に対する忠誠義務から解放され、脱退の自由を得ることで主体性を確保できるようになった[5]

役割

コモンウェルス首長には正式な任務は存在しないが、イギリス連邦の統合の象徴として大きな役割を担っている[6]1952年から2022年まで70年にわたってコモンウェルス首長であったエリザベス2世は、コモンウェルスの首脳と会談し、諸国の国民と触れ合ってきた[7]

またイギリス連邦に加盟するための条件の一つとして、コモンウェルスの慣習と規範を受け入れることがあるが、その中には現職のコモンウェルス首長を首長として承認することが明記されている[8][9]

任命

就任しているのはこれまでイギリスの君主であるが、世襲ではない。2018年4月20日に、当時プリンス・オブ・ウェールズ(皇太子)であったチャールズ3世イギリス連邦首脳会議英語版によって母・エリザベス2世の後継のコモンウェルス首長として指名された際には、イギリスのテリーザ・メイ首相とカナダジャスティン・トルドー首相がチャールズ皇太子の首長就任を事前に支持する声明を出していた。この際にメイはチャールズが「40年以上」英連邦を「誇りに思って支えてきたこと」から、「首長としてふさわしい」と述べている。また、エリザベス2世は長男・チャールズがいつの日か首長の地位を引き継ぐことを「切なる願い」であると述べていた[10][1]

一方で加盟国の間では、この地位を加盟国間で持ち回り制にすべきという案も存在していた[1]

歴代のコモンウェルス首長

肖像 在職者 任期
開始 終了 期間
1 ジョージ6世
(1895–1952)
1949年4月26日/28日[注釈 1] 1952年2月6日 2年, 286日
2 エリザベス2世
(1926–2022)
1952年2月6日 2022年9月8日 70年, 214日
3 チャールズ3世
(b. 1948)
2022年9月8日 在任中 331日

注釈

  1. ^ ロンドン宣言英語版に基づく[11]

出典

  1. ^ a b c 英連邦の次の首長はチャールズ英皇太子に決定 女王の強い意向”. BBCニュース. BBCニュース (2018年4月21日). 2023年1月15日閲覧。
  2. ^ 松田幹夫 2001, p. 2.
  3. ^ a b 松田幹夫 2001, p. 3.
  4. ^ 松田幹夫 2001, p. 3-4.
  5. ^ 渡辺昭一「イギリスのコモンウェルス体制の再編とインド (特集 イギリス帝国の脱植民地化のプロセス――カナダ,インド,アフリカ――)」『ヨーロッパ文化史研究 = The study of the history of European culture』第13巻、東北学院大学ヨーロッパ文化研究所、2012年、88頁、ISSN 18811914NAID 120006917152 
  6. ^ 松田幹夫 2001, p. 4.
  7. ^ 松田幹夫 2001, p. 4-5.
  8. ^ King CharlesIII is now head of the Commonwealth, but what is it?”. LeMonde (2022年9月9日). 2023年1月15日閲覧。
  9. ^ 鶴田綾「ルワンダのコモンウェルス加盟をめぐって」『中京大学国際学部紀要』第1巻、2021年、74頁、 ISSN 2436-2875 
  10. ^ BBCNews (2018年4月20日). “Prince Charles to be next Commonwealth head”. BBC News. 2023年1月15日閲覧。
  11. ^ London Declaration, Commonwealth Secretariat, オリジナルの28 April 2023時点におけるアーカイブ。, https://web.archive.org/web/20230428122912/https://production-new-commonwealth-files.s3.eu-west-2.amazonaws.com/s3fs-public/2022-01/London-Declaration%201.pdf?VersionId=SvtHItvsceppjMbSUsX.DvpI0hWMfDkv 2023年4月24日閲覧。 

参考文献


コモンウェルスの長

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/06/05 00:21 UTC 版)

イギリス連邦」の記事における「コモンウェルスの長」の解説

コモンウェルスの長(コモンウェルスのちょう、英: Head of the Commonwealth)は、現在54主権国家構成される政府間組織であるコモンウェルス・オブ・ネイションズ(旧イギリス連邦)の「独立した加盟国自由連想法」を象徴する儀礼的指導者に与えられる称号である。任期とそのの制限規定されておらず、その役割自体は、連邦内の加盟国における普段統治には関与していない。この称号は、設立以来現役イギリスの君主によって保持されてきた。 1949年までに、イギリス連邦は8か国のグループになり、各国国王ジョージ6世君主として持っていた。しかし、インド共和制への移行希望していたが、イギリス連邦からの脱退望んでいなかった。これは、王の連邦首長という称号創設によって対応され、インド1950年共和制となったその後パキスタンスリランカガーナシンガポールを含む他の多くの国が、イギリスの君主自国国家元首とすることを廃止したものの、コモンウェルス・オブ・ネイションズ加盟国として、イギリスの君主がコモンウェルスの長を担うことは認めた。 この地位には現在、女王エリザベス2世ジョージ6世長女)が就いている。2018年コモンウェルス首脳会議英語版)で、ウェールズ公チャールズエリザベス2世長男)が指定後継者任命された。 1960年ウィンザー城での女王エリザベス2世連邦首相たち オーストラリアパース開催され2011年コモンウェルス首脳会議演説を行うコモンウェルスの長(女王エリザベス2世) 以下、歴代のコモンウェルスの長一覧。 代肖像誕生任期崩御開始終了1 ジョージ6世 1895年12月14日 1949年4月26日/28日 1952年2月6日 1952年2月6日 2 エリザベス2世 1926年4月21日 1952年2月6日 現職 存命

※この「コモンウェルスの長」の解説は、「イギリス連邦」の解説の一部です。
「コモンウェルスの長」を含む「イギリス連邦」の記事については、「イギリス連邦」の概要を参照ください。

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