コクピット・駆動伝達系
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2017/01/18 13:36 UTC 版)
「SUMPAC」の記事における「コクピット・駆動伝達系」の解説
コクピットは機体前方に位置し、着脱式とされた機首のフェアリングを外して乗り込むようになっている。パイロットは2本の主翼桁の間に設けられた座席に着座し、上方へ延びるプロペラパイロンと一体となった風防越しに主翼上面から前方を見る形となった。パイロットが2本の桁の間に配置されたのは、正確な重心位置を得るためであった。また主翼桁が最も高強度の部材であるため、パイロットを守る意図もあった。 パイロットの姿勢は座席に腰掛け、前方に足を出して漕ぐリカンベント形式が採用された。クランク軸および前輪を収めたフレームは、当初、胴体と同様のパイプ組み構造であったが、初期の地上試験の結果から軽合金の板材による箱型構造のフレームに変更された。フレーム上部は主翼桁に、下部は胴体を構成するパイプに接続された。 操縦はパイロット前方のフラットバー式の操縦桿で行われた。操縦桿は通常の飛行機と同様に3軸の自由度を持ち、押し/引きで昇降舵、水平方向の回転で方向舵、左右へ傾けることで補助翼を動かす仕組みとされた。限られたスペースの都合上、操縦桿は主翼前縁付近に位置し、パイロットとの間に主翼の前桁が横たわる配置となった。このため、前桁のウェブには穴が開けられ、パイロットは両腕をこの穴に通して操縦桿を操作する形となった。 降着装置としては2つの車輪が存在し、コクピットの前部とパイロットの直後に配され、機体の中心線上に前後に並べる方法が採用された。前輪は当初は直径14インチのタイヤだったが、初期段階で軽合金製の直径9インチ(約228mm)で首振り可能なキャスターへ変更された。試験の中で、前輪には機体を水平に保つためのサスペンションが取り付けられた。後輪には直径27インチ(約686mm)の競技自転車用高圧タイヤが用いられた。後輪は地上滑走を補助するためにクランクから競技用自転車に用いられるチェーンによって動力を得る駆動輪とされた。 クランクから供給された動力は、後輪軸に取り付けられたプーリーから、ねじれたベルトを介し、パイロン上部のプロペラまで伝達された。ベルトには幅0.5インチ(約12.7mm)、厚さ0.008インチ(約0.2mm)のばね鋼が用いられた。駆動効率は97%として設計されたが、高出力時にはスチールベルトが滑る事象が発生した。インペリアル・カレッジ・ロンドンでの改良によりばね鋼のベルトは歯付きのベルトに変更された。
※この「コクピット・駆動伝達系」の解説は、「SUMPAC」の解説の一部です。
「コクピット・駆動伝達系」を含む「SUMPAC」の記事については、「SUMPAC」の概要を参照ください。
- コクピット・駆動伝達系のページへのリンク